ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

これではタダの受託開発!クアルコムとシャープが交わした驚愕の契約内容

 

 経営再建中のシャープは4日、米クアルコムとの提携を正式に発表した。市場ではシャープが経営危機を脱するための起爆剤になるとの期待もあったが、発表されたその内容は単なる研究開発の受託というつまらないものであった。当然のことだが、懸念材料になっている台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携の代わりになるような案件ではない。

 シャープとクアルコムが交わした契約の主な内容は以下の2つ。

 ①両社は次世代液晶パネルを共同開発する
 ②クアルコムはその開発資金として2回に分けてシャープに出資を行う

 液晶パネルの共同開発については、基本的にシャープ側が実施する。シャープの米子工場に実用化研究のための設備を導入する。シャープ側はここで同社の虎の子技術といわれるIGZO技術を投入しなければならない。

 開発資金はクアルコムが用意し、増資という形で2回に分けて提供する。クアルコムから確実に受け取れるのは第1回目の増資で提供される50億円のみ。残りは、開発の進捗状況とシャープの財務状況によって、クアルコムは資金の提供を拒否することができる。
 また第1回目の増資で得られた資金については、明確に資金使途が定められており、次世代液晶パネルの開発以外には使うことができないようになっている。

 総合すると、資本提携という体裁をとっているが、クアルコムから50億円で研究開発を受託するという契約にすぎないことが分かる。しかもシャープ側は自社の虎の子技術であるIGZOを提供しなければならない。
 単純な受託開発であるならば、わざわざ経営に口出しされる可能性が出てくる出資という形態を取ることはあまりない。なぜなら、使途も限定されるような自由度の少ない資金提供と引き換えに、株式という会社の経営権の一部を差し出す行為は、既存株主の権利を大きく侵害する可能性があるからだ。下手をすれば株主代表訴訟にもなりかねないため、普通の経営者ならあまり選択しないやり方だ。

 だがシャープはあえてこのようなスキームを選んでいる。その理由としては以下のどちらかであると考えるのが自然だ。

 ①よほど立場が弱く、出資でなければ相手が飲まなかった
 ②最初からシャープは出資という形態を望んでいた

 出資の形態にすればクアルコム側にはメリットばかりである。出資はバランスシート(B/S)上の資金移動なので、会計上、同社の利益を下げる要因にはならない。うまくいってシャープの株価が上がればむしろボロ儲けである。株価が上がらないにしても、2年待てばクアルコムは自由に株を売却できる(売却禁止期間は1年のみ。2年までは一部制限がかかる)。そのときまでにシャープが存続していれば、提供した資金を回収することができるのだ。クアルコムが資金の回収に成功すれば、同社はタダでシャープに開発を委託できたことになる。

 圧倒的にクアルコムに有利な条件を苦汁の決断でシャープが飲んだとは思えない。そもそもシャープ側にもクアルコム側にもこの提携を何としても進めなければならない理由などないからだ。
 だとすると、シャープは最初からクアルコムに対して増資を前提にしたスキームを提示したのではないか?もしそれが、有名企業からの増資ということで、投資家やマスコミ、あるいは金融機関の目を誤魔化せるとでも思っていたのだとすると、彼らもずいぶんとナメられたものである。

 - 経済, IT・科学

  関連記事

ISS
若田さん搭乗の国際宇宙ステーションで機器トラブル。今のところ修理メドは立たず

 NASA(米航空宇宙局)は2013年12月11日、国際宇宙ステーション(ISS …

yota
ロシア企業が両面にディスプレイのある奇妙なスマホを開発。ロシア躍進の兆候か?

 ロシアの企業であるヨタ・デバイスが両面にディスプレイを備えた奇妙なスマートホン …

woldorfastoria
NYの超名門ホテルが中国企業に売却。だが運営の実態は変わらず

 ホテル運営大手のヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスは2014年10月6 …

doruen201409
為替市場で円安が加速。指標的には過剰だが、相場主導で現実が後追いか?

 為替相場が急に慌ただしくなってきた。2015年5月26日の外国為替市場では円安 …

imf201604
IMFが最新の世界経済見通しを発表。新興国経済の低迷が先進国にも波及

 IMF(国際通貨基金)は2016年4月12日、最新の世界経済見通しを発表した。 …

bitcoin
ビットコインの通貨以外への応用に注目集まる。実現すれば社会コストが激減

 インターネット上の仮想通貨ビットコインに関するあらたな活用方法に注目が集まって …

setsubitoshi
設備投資に回復の兆し。1~3月期GDPの改定値は上方修正の可能性

 企業の設備投資に回復の兆しが見られるようになってきた。財務省が発表した2015 …

orand78%
大連立構想は国力衰退の象徴?ギリギリで大連立を回避した日本はまだマトモかもしれない

 総選挙における自民党の大勝利で立ち消えになったが、民主党政権末期には大連立構想 …

suntorypuremoru
サントリーが新浪氏のトップ就任に合わせて組織改編。とうとうビール部門が独り立ち

 サントリーホールディングスは2014年9月25日、ビール事業の分離などを柱とす …

googlehead
Googleもいずれ成長鈍化?第2四半期決算は好調だが、クリック単価の下落は止まらず

 イ ンターネット検索最大手の米グーグルは7月18日、2013年4~6月期の決算 …