ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

韓国大統領選はFTAをめぐって政策が真っ二つ。日本のTPP論争にも影響か?

 

 12月に行われる韓国大統領選挙において、2大候補者の経済政策が真っ二つに割れている。大統領選挙の結果によっては、米韓FTAを中心とする韓国の自由貿易政策が大幅に変更される可能性も出てきている。日本のTPP交渉を巡る議論にも影響を与えそうだ。

 韓国は現在45カ国と自由貿易協定を結んでおり、これが韓国企業の競争力強化に大きく寄与しているといわれている。一方、農業を中心とした国内産業が大打撃を受けているとして反対の意見があるほか、米国との協定には韓国側に不利な条項(ISD条項)があるとして、交渉のやり直しを求める声も根強く残っている。

 与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)候補は米韓FTAの再協議には否定的で、現行の米韓FTAをそのまま踏襲したい方針。一方の野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補は、交渉のやり直しを主張している。
 問題となっているISD条項(紛争解決に関する条項)については、朴候補は現状維持、文候補は条項の内容を変更することを主張している。

 ISD条項をめぐっては、米側が条項を発動するケースが早くも発生している。米投資ファンドのローンスターが11月、同社が買収した銀行の売却に関して、韓国政府が承認を遅らせ、それによって損失が発生したとして、投資紛争解決国際センター(ICSID)に提訴したのである。FTA反対派は、韓国企業が米国のファンドに食い散らかされてしまうと強く反発している。

 韓国は米国に引き続いて、日本や中国ともFTAを締結する方針だが、これについても意見は割れている。朴候補は日中韓FTAについては積極的、文候補は農業分野に配慮して慎重なスタンスを崩していない。
 為替政策については、ウォン安を目指す点で両候補の意見は一致している。だが自由貿易を進めていけば、為替のコントロールが難しくなることは自明の理であり、政府がコントロールする余地は少なくなる。韓国の経済が好調であればあるほど、ウォンは切り上がり、輸出企業にはマイナスとなる。

 与党セヌリ党は旧来の保守勢力を中心とした支持基盤で日本では自民党に近い政党。対する民主統合党は市民運合系の政治家が多く、日本では民主党に近い。だが日本では、自由貿易構想に慎重な姿勢を示しているのが自民党であり、一方の民主党は政府が判断することとして政策立案を放棄、事実上TPPを容認している。
 要するに政権与党にいた側がTPPを推進し、野党にいる側が反対するという構図になっている。TPPは国際交渉であり、基本的に政治がよほど強いコミットをしなければ官僚主導で話が進んでしまう。日本では、政党がどこであっても官僚主導で締結の方向に流れているということなのかもしれない。自民党が政権を取った後には、TPP反対の主張は後退する可能性が高いとみてよいだろう。

 - 政治, 経済

  関連記事

iryouhi
資産がある人は医療や介護の自己負担が増加?骨太の方針にマイナンバー制を活用

 政府が今月末の策定を予定している経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の中に、資 …

toyodaakio
トヨタが個人投資家向けにわざわざ種類株を発行する理由

 トヨタ自動車は2015年4月28日、値下がりリスクを抑える代わりに、売却や配当 …

otukakagu
大塚家具のお家騒動。ガバナンスという点では久美子氏が圧倒的に有利だが

 大塚家具の経営権をめぐる内紛が続いている。同社は3月下旬に株主総会を控えており …

munyutin
反ウォール街だったはずのトランプ政権に多数のゴールドマン出身者

 選挙期間中からウォール街を敵視し、庶民の味方であることを強調していたトランプ大 …

bouekitoukei201310
貿易赤字の金額がジワジワと拡大。その先に見えてくるのは経常赤字への転落

 財務省は11月20日、10月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた …

no image
米大統領選挙、イスラエル支持をめぐって民主党大会が紛糾。米国社会に変化の兆候

  ノースカロライナ州シャーロットで開催中民主党全国党大会で、イスラエル問題でひ …

usakoyoutoukei201503
米雇用統計は市場予想の半分。株価のトレンドが変わる可能性も

 米労働省が2015年4月3日に発表した3月の雇用統計は、市場予想を大幅に下回り …

no image
失業率25%のスペイン。国家は非常事態なのに国内旅行は絶好調。何故?

 経済危機真っ只中のスペインだが、観光業が絶好調である。経済危機によって価格を引 …

shukinpei03
ウイグル独立運動とアルカイダを結ぶ点と線。中東問題に引きずり出される中国

 中国・北京の自動車爆破事件をきっかけに、中国はパキスタンとの対テロ連携の強化を …

amarikaiken
甘利氏の「予想」通りGDPは上方修正。発言の何が問題なのか?

 内閣府は2015年12月8日、2015年7~9月期のGDP(国内総生産)改定値 …