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発達障害に関する文部科学省の調査。なぜか被災地域は調査対象から除外

 

 文部科学省は5日、全国の小中学校に通う児童生徒のうち、人とコミュニケーションがうまく取れないといった発達障害の可能性のある小中学生が全体の6.5%に上るとする調査結果を発表した。

 発表されたのは「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」。全国から抽出した1200校、約5万2000人の児童生徒が母集団となっている。授業中や学校での行動を尋ね、その報告をもとに同省が結果を判定した。
 調査では、いわゆる発達障害を以下の3種類に分けて分析している。

  ①学習障害(聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなど)
  ②注意欠陥多動性障害(不注意、多動性-衝動性など)
  ③高機能自閉症(対人関係やこだわりなど)

 ①の学習障害は「聞き違いがある」「音読が難しい」「図形を描くのが困難」といった項目が該当する。②の注意欠陥多動性障害は「余計に走り回ったり高い所へ上ったりする」「直接話しかけられたときに聞いてないように見える」などの行動が、③の高機能自閉症は「会話の仕方が形式的であり、抑揚がない」「意図的でなく、顔や体を動かすことがある」「カレンダー博士などと呼ばれてる」といった内容が該当するという。

 学習障害の可能性がある児童生徒は全体の4.5%、注意欠陥多動性障害は3.1%、高機能自閉症は1.1%であった。また発達障害になるのは男子が圧倒的に多く、男子は全体の9.3%だが女子は全体の3.6%にとどまっている。発達障害の児童生徒に対して何の支援も行われていないケースが40%近くにのぼっており、専門家は対策が必要と指摘している。

 ただしこの調査結果には気になる点もある。前回実施された同様の調査(2002年)とは調査方法が異なり、時系列の比較がができないという点、もうひとつは被災地域の児童生徒が含まれていない点である。

 上記のように、質問項目はかなりあいまいで、判定する教師の解釈が入る余地が多分にある。しかも前回の調査と今回の調査では質問内容が異なっている部分がある。調査方法が変わると得られる結果も変わってくる可能性があるのだ。一部マスコミでは、前回よりも発達障害が増加していると報じているが、単純な比較は危険だ。本当に発達障害が増加しているのか、単に解釈の違いなのかについてははっきりさせておく必要があるだろう。
 また今回の調査にはなぜか被災地域の児童生徒が含まれていない。被災地域の学校の中には復興もままならず、余裕がないところもあるかもしれない。単純に調査の実務負担を回避させる目的なのかもしれないが、もし震災や原発事故が調査結果に影響すると憂慮してのことだとしたら、それは考えものである。
 データを収集した後で、特定部分の影響を排除するためデータをスクリーニングすることは可能だが、もともとないデータを後から付け加えることはできない。最初からデータを収集しないというのは、調査結果の信頼性を下げることにはつながっても、上げることにはならない。

 - 政治, 社会

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