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EUなんて幻想?ギリシャの有力企業が相次いで本社を国外に移転し、空洞化が加速

 

 経済危機が続くギリシャで有力企業の本社を国外に移す動きが出てきている。10月にギリシャで時価総額が最大の企業であるコカコーラ・ヘレニック・ボトリングが本社をアテネからスイスに移転させることを決め た。併せて株式を上場する市場もアテネからロンドンに移す。またギリシャの乳製品大手であるフェージ(写真)もルクセンブルグに本社を移転することを決定している。

 大手企業がギリシャから本社を外国に移転するのは、企業の信用力低下とそれにともなう資金調達の環境悪化を懸念しているから。
 ギリシャに本社を置いておくと、企業の業績に関係なく、信用力が低下し、資金調達が困難になるという。また株式市場の流動性が低下し、市場からの資金調達にも困難を来たしているという。
 コカコーラ・ヘレニック・ボトリングはギリシャを拠点にしてるが、実際には欧州28カ国で事業を展開する多国籍企業。フェージも欧州を中心に29カ国に製品を輸出している。ギリシャに本社を設置するメリットが薄れてきており、ここに信用不安が重なって、決断を後押ししたものと思われる。
 もっとも、両社は公式にコメントしていないが、本社移転は節税の意味合いも強い。ギリシャは財政再建のために企業に対する課税を強化しており、両社もその影響を受けている。本社の移転先が、スイスやルクセンブルグなど、税制面の特別措置がある国であることもそれを裏付けている。

 このことは、単一通貨、単一市場というユーロのタテマエが崩れ始めていることを示している。本来であれば、ユーロ圏内であれば、どの国に本社があろうが、同じ条件で信用が評価され、資金調達ができるはずである。また税制面においても、原則として各国で著しい違いがあってはならない。各国間の不均衡はユーロ崩壊につながるからだ。
 だが欧州危機の長期化は、こういったタテマエも破壊しつつある。欧州内部でリソースの取り合いになっているのである。経済が好調なドイツには、ポーランドなどの近隣諸国だけでなく、イタリアやギリシャからも労働者が押し寄せている状況だ。まだ経済危機にはなっていないフランスでも、すでに工場や本社の国外移転の動きが顕著になっている。

 このような資本移転や労働力移転が今後も続いた場合、ユーロという体制を維持してくためには、さらに強力な富の再分配機能が必要になってくる。EUの官僚機構はますます肥大化していくことになる。

 - 政治, 経済

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