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J-REITが日経平均をはるかに上回るパフォーマンス。背景にあるのはインフレ期待?

 

 不動産投資信託(J-REIT)が好調だ。年初850円前後だった東証REIT指数は1年で20%以上も上昇し現在は1050円を突破している。今年の日本株は比較的好調で日経平均は11%ほど上昇したが、REITはそれをはるかに上回るパフォーマンスとなっている。

 東京都心部でオフィス賃料の下落に歯止めがかかり、投資家に安心感が広がっていることや日銀による緩和策(REIT買い入れ)の実施が背景にあるとみられる。だがREITに資金が集まっている最大の理由は、市場に醸成されつつあるインフレ期待である。

 各国の中央銀行が相次いで緩和策を実施した結果、相対的に日銀の緩和策に対する消極性が目立つようになり、日銀には各方面からの圧力が強まっていた。この状況下において自民党の安倍総裁が、日銀法の改正や国債の引き受けに関する強硬発言を行ったことから、政権交代後はインフレになるのでは?との見方が急速に広まった。インフレに強いとされる不動産に一部の投資家が着目し、REIT価格が上昇したものと思われる。

 こうした市場の盛り上がりを背景に、REITとしては久々の大型上場が予定されている。12月21日にはシンガポール政府投資公社(GIC)系のGLP投資法人が、来年1月には米国系のプロロジスがそれぞれ新規上場する。両者とも物件取得額は2000億円前後で国内のREITとしては最大級。楽天やAmazonをはじめとするネット通販の普及により、物流センターへの需要が高まっていることから、ロジスティクス系の物件を中心に運用する方針だという。

 もっとも市場のインフレ期待は一時的なものに過ぎないとの見方もある。安倍総裁の発言は選挙前のリップサービスであり、実際に総理に就任すればそうそう乱暴なことはできないと見る市場関係者も多い。また不動産ビジネスそのものはまだ活性化してるとはいえない状況だ。
 実際、今回上場するGLP投資法人は、思ったほどの利回りを確保できておらず、設備投資の30%を上限に出資の払い戻しを実施する方針も明らかにしている(一種のタコ足配当)。

 だがそれでもJ-REITには追い風が吹いている。米国がドル高政策に舵を切るとの噂が絶えないことや、政府が来年以降、大規模な財政出動に踏み切らざるを得なくなると見る投資家が少なくないからだ。銀行の国債消化能力は限界に近づきつつある。銀行がポートフォリオの見直しを実施できなければ、国債を市場で消化できなくなるリスクが生じる。銀行のポートフォリオ見直しのためには、不動産市場の拡大が必須になるという流れだ。

 総選挙の結果や米国の次期政権の陣容がはっきりしてくれば、今後のJ-REITの動向もより明確に見通せるようになってくるだろう。

 - 経済

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