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「いじめ」に関して事件化するケースが増加。だが「いじめ」がなくならない本当の理由

 

 いわゆる「いじめ」問題への対策として、加害者が何らかの罪状で逮捕されるケースが増えてきている。
 大阪府警少年課は10日、大阪府貝塚市で定時制高校1年の川岸朋之さん(当時18)が自殺した問題で、川岸さんらにひったくりを強要させたとして川岸さんの元同級生の少年(19)を窃盗教唆容疑で逮捕した。
 神奈川県警相模原署は、同級生の男子生徒(15)の顔を殴り鼻の骨を折ったとして、傷害の疑いで、中学3年の少年(15)を逮捕した。少年は男子生徒に対して日常的にいじめを繰り返していたという。
 また、宮城県警仙台東署は10日、仙台市内の私立高校の元男子生徒(16)に「根性焼き」と称してタバコの火を押し付けたとして、傷害容疑で同校の元生徒2人を書類送検した。

 これまで野放図にされてきた「いじめ」に対して、刑事事件となる事例が増えてくれば、一定の抑制効果が出てくることは間違いないだろう。だが一方でこのことは、警察が刑事事件として摘発しなければ、いじめを減らすことができないという日本の教育現場のすさんだ実態を浮き彫りにしている。

 そもそも「いじめ」という言葉が存在すること自体が問題の解決を回避している。窃盗を万引きと言い換えるのと同じ構図といえるだろう。

 「いじめ」は良くない、あるいは多少の「いじめ」はやむを得ないというような論争をよく聞くが、そもそも「いじめ」という行為には、暴行、傷害、犯罪教唆、恐喝などの犯罪が伴っている。警察沙汰にならないまでも、民事における損害賠償の対象となる事案ばかりである。いじめ自体が良い悪い以前に、こういった犯罪行為、不法行為が無視されてきたことの方がよほど恐ろしい。

 日本は工業化には成功したが、社会的には十分な近代化のプロセスを経ないまま現在に至っており、地域社会や学校、職場では以前として前近代的なムラ社会が形勢されている。
 本物の近代社会ではまずルールありきとなるが、ムラ社会ではそうはならない。明文化されたルールはなく、その場の雰囲気でものごとが決まる。アンフェアな行為をした人ではなく、それについて問題提起をした人の方が、秩序を乱したといって村八分にされるケースが圧倒的に多い。結果として、暴力やそれに類するを行使して強い立場に立った人が局地ボスとして君臨するという社会形態となる。

 大人の社会でも子供の社会でも基本的な構図は変わらない。子供の社会で唯一それを変革する権限を与えられているは教師なのだが、教師には保身のことしか頭にないようだ。
 タバコの火を押し付けた宮城県のケースでは、こともあろうに加害者ではなく、被害者の生徒に対して「根性焼きの痕が他の生徒を動揺させる」として退学処分を下している。加害者ではなく被害者が処罰されるムラ社会の典型的なパターンといえるだろう。加害者生徒の犯罪とは関係なく、学校側の行為自体がそもそも責任を追及されてしかるべきものである。だが被害者生徒が自殺し、大騒ぎにならなければ、学校側を訴えたとしても、その訴えは通らず、逆に被害者生徒の父母は村八分にあっていたのではないだろうか?

 つまり、加害者も傍観者もそして教員も(場合によっては警察官も)、ルールにもとづかないムラ社会を維持するための構成要員として積極的な役割を果たしている。要するに皆グルというわけである。ムラ社会から脱却するためには、個人主義を確立し、自分の行為はすべて自分で責任を持つという別な意味での冷徹さが必要となる。ムラ社会の住人の多くがそれを望んでいない。
 警察が部分的に摘発を行ったところで、ムラ社会の構成要員の多くが、体制の改革を望んでいないなら、いわゆる「いじめ」問題がなくなることは決してないだろう。

 - 社会

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