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李克強氏の経済改革プランが始動?保守派である習近平氏との違いが早くも表面化

 

 国務院総理(首相)に内定している李克強副首相が、就任後の経済改革に向けてはやくも精力的に活動している。

 李氏は9日、北京の人民大会堂で米国のポールソン前財務長官と会談した。この席で李氏は米国に対し「中国向けのハイテク輸出制限を米国が一日も早く緩和することを望む」と述べた。一方ポールソン氏は、「中国の都市化プロセス、農業投資、金融市場の建設などで、中国との協力を強化していきたい」と述べた。

 またこの会談に先立ち、李氏は11月27日、米国の投資銀行やヘッジファンド幹部らとも会談している。李氏を訪問したのは、投資銀行モルガンスタンレー、大手ヘッジファンド、ロビー活動会社、大手メーカーの幹部など。中国の金融市場改革について議論したものと思われる。

 首相に内定している李氏の肩には、問題山積の中国経済を改革する重い負担がのしかかっている。李氏は引退が決まっている胡錦濤総書記と同じく中国共産主義青年団(共青団)の出身で同氏の弟分。徹底的な改革開放路線主義者といわれており、太子党(中国共産党幹部の子弟を中心にした2世3世の派閥)に属し、保守的傾向の強い習近平とは対照的な存在。

 李氏は、金融市場改革や内需拡大策を強力に推進していく構えであり、そのためには米国からの投資や協力が不可欠だ。ポールソン氏は財務長官に就任する前は米国の投資銀行ゴールドマンサックスの会長をつとめていた人物。ポールソン氏をはじめとする金融関係者と相次いで会談している背景には、金融市場の分野で米国との連携を深めようという李氏の思惑があると推定される。「都市化が今後10年間の中国の発展をけん引する」とした李氏の発言を受けて、このところ低迷が続いていた上海の株式市場も大きく反応し、不動産、インフラ関連株も上昇している。

 もっとも李氏が目指す諸改革は、強力な利権を保持し、江沢民グループが強い影響力を行使している国有企業という存在と真っ向から対立することになる。李氏は、個人的にも清廉潔白とされ、蓄財などをほとんどしていないといわれる。ある意味で愚直なスタンスは改革の原動力ともなっているが、脆さも併せ持っている。
 首相就任後は、改革路線の方向性をめぐって、習総書記やその背後にいる江沢民氏との対立が表面化するのではないかとの懸念が早くも広がっている。

 - 政治, 経済

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