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ルネサス救済が正式決定。だが、早くもガバナンス不在の現実が露呈

 

 経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスは10日、第三者割当増資を実施し、政府系ファンドの産業革新機構などから1500億円を調達すると正式に発表した。
 株式を引き受けるのは、産業革新機構のほか、トヨタ、日産自動車など合計9社。合計で発行済み株式数の75%を取得する予定(このうち革新機構は69.2%)。再建策をめぐって議論が続いてた同社は、正式に政府系ファンドの傘下に入り、官主導で再建が進められることになった。

 だが同社の再建の方向性をめぐっては、誰が責任を持って実施するのかはっきりせず、早くも体制の不備が露呈している。
 増資を発表する記者会見に臨んだ革新機構の能見公一社長は「影響力のある形で役員を派遣したい」と述べ、経営に積極的に関与する姿勢を示した。一方、ルネサスの赤尾泰社長は政府系ファンドの産業革新機構がルネサス株の3分の2を握ることについて「国が関与という意識はない」と意味不明の見解を述べた。

 会社法において株式の3分の2を握るということは、ほぼすべての案件を決定できることを意味しており、会社の経営権を完全に掌握したとみなされる。わざわざ3分の2にしたのはそのためであり、ルネサスの経営権は間違いなく産業革新機構にある。
 一方、産業革新機構はファンドである。ファンドの意思決定に責任を持つのは、出資者から全権限を委託されたファンドマネージャであり、今回のケースでは産業革新機構の経営者ということになる。だが能見社長は、革新機構の意思決定について「有識者によって民間ベースの意思決定をすることになっている」と説明した。しかも「個別案件に国は口出ししないというルールで、これまでの投資案件についても経産省から口を出されたことはない」という。
 整理すると、革新機構の意思決定は「有識者」とやらが実施するらしく、能美社長も国も責任を負わないということになる。つまりルネサスの実質的な経営権はその「有識者」とやらが握っているのである。

 この先、ルネサスがどのような事態になっても、ルネサスの経営者はもちろん、産業革新機構も政府(経済産業省)も責任を取らないだろう。実質的な意志決定権を持った「有識者」には法的権限などあるはずもなく、何かあっても「自分はアドバイスしただけだ」と言い訳することは目に見えている。

 今回のルネサス救済スキームは、税金を投じた政府系ファンドが経営権を掌握するという、誰がどう見ても国有化そのものである。世の中でもっとも無責任なのが日本政府だとすれば、むしろ当然のことなのかもしれないが、見事に誰も責任を取らない体制が構築されている。
 巨大スーパーのダイエーが破綻した時はオーナーだった中内氏はすべての財産を失った。現在は想像することすらできないかもしれないが、ソフトバンクがもし経営破たんするような事態となれば、当然のことながらオーナーである孫社長がすべての責任を負うことになる。
 人物の好き嫌いはともかくとして、ダイエーやソフトバンクとルネサスを比較して、どちらがフェアで透明性が高いのかは、一般的な常識があれば一目瞭然だろう。

 - 政治, 経済

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