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LIBOR問題が刑事事件に発展。これは英国と米国の金融覇権をめぐる争いだ!

 

 英国の重大不正捜査局は11日、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR、通称ラ イボー)の不正操作に関与したとして、英国人男性3人を逮捕した。LIBOR不正問題で逮捕者が出るのは初めて。当局は逮捕者が所属した金融機関や容疑の詳細については明らかにしていない。

 LIBORは、ロンドンの主要銀行同士が無担保で資金を貸し借りする際の平均金利のこと。ロンドン市場で決められたこの金利の数値は、世界中の金融商品の価格や金利を決める目安になっており、金融の世界では極めて重要な意味を持つ。

 英金融大手バークレイズのディーラーが、実態より低い水準の金利を申告するなどの不正行為を行っていたことが発覚。同社の会長が引責辞任するとともに、同社は米英金融当局に対して約2億9000万ポンド(約380億円)の課徴金を支払っていた。

 一連のLIBOR事件は、英国が持つ金融取引の覇権を奪うことを目的に米国が仕掛けた一種の闘争とみるべきものである。
 英国は第二次大戦後、経済や軍事などあらゆる面で米国に覇権を奪われてきた。だがそれでも国際社会で高い政治力を維持している背景には、英国がいまだに保持している金融覇権がある。

 LIBORだけでなく、為替の世界でもロンドンの影響力は極めて大きい。為替市場の規模は東京が1日あたり3000億ドル(約25兆円)なのに対して、ニューヨークは3倍の9000億ドル(約72兆円)、ロンドンはさらに大きく1兆8000億ドル(約147兆円)という途方もない規模となっている。ドル/円の相場は東京でもニューヨークでもなくロンドンで決まっているようなものなのだ。
 為替取引の規模と比較すると貿易でやり取りされるマネーなどゴミみたいなもので、約100分の1程度しかない。金融マーケットを握っていることの意味は極めて大きいのである。

 米国は英国が持つLIBORと為替に関する絶大な影響力を奪い取りたいと考えている。LIBOR事件の発覚は米国の捜査当局が発端となっており、米国側の意図が色濃く反映されている。また同じタイミングで英国の巨大銀行であるHSBCが、米国当局からマネーロンダリングで摘発されており、総額19億2100万ドル(約1580億円)の罰金を支払うことで和解したばかりだ。タックスヘイブンに対する課税強化の動きも同じ流れである(タックスヘイブンの多くが英国領)。

 マネーが集まる場所には人、モノ、そして情報が集まってくる。情報を多く集めたものが交渉で優位に立つのは当然の結果である。金融市場の覇権を握ることは、好き嫌いの問題ではなく、国益そのものである。金融を忌み嫌い、規制を設けて他国からマネーが流入することを拒絶する日本が、国際交渉でいいように振り回されるのは当然の結果なのである。

 - 政治, 経済

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