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サントリーが本体ではなく子会社を上場。経営権は手放したくないがカネだけは欲しいらしい

 

 サントリーホールディングスは主力子会社で清涼飲料事業を手がけるサントリー食品インターナショナルを上場させる方針を固めた。12日の日本経済新聞が報じている。
 サントリー食品インターナショナルは清涼飲料水事業を手がけるグループの中核的企業のひとつ。上場した場合の時価総額は1兆円規模となる見込みで、サントリーホールディングスは5000億円程度の資金を調達する。上場後も過半数の株式を保有し経営権を維持する予定だという。

 サントリーは鳥井家、佐治家の創業者一族が9割の株を持つ非上場企業。オーナー企業らしく長期的でユニークな事業への取り組み方が評価される一方、鳥井商店、佐治商店とも揶揄されるように田舎企業的な体質も指摘されている。
 現社長である佐治信忠の父親で2代目社長だった佐治敬三氏は、東北地方を「クマソの国」と差別発言を行い不買運動が起こったこともある(ちなみにクマソは九州で東北はエゾ)。

 こうした同社の体質をよく理解しているのか、現社長の佐治信忠氏は2009年にキリンとの合併交渉という大胆な決断を行い、市場からは大きな期待が寄せられた。だがキリンとの交渉は合意に至らず破談となってしまった。
 合併交渉が打ち切られた本当の理由は明らかではないが、一説では、キリン側がサントリー創業家に対して市場価値を大幅に下回る持ち株比率を要求したためといわれている。もしそれが本当なら、キリン側の要求は市場原理を無視した不当なものでありサントリー側に正当性があることになる。

 だが、今回の中核子会社の上場スキームを見ると、キリン側にも一理あるように思えてくる。市場から資金を調達したいのなら、サントリーホールディングスが上場するのがスジである。上場する子会社の支配権を持つ親会社が非上場というのは、本来あってはならない姿である。
 サントリーの創業家は、創業家としての支配権は手放したくないが、市場からお金だけは調達したいという意識が強いようである。キリン側がサントリー創業家の経営に対する過度な介入を警戒したとしても不思議ではない。
 証券市場では、欧米諸国並みの透明性が要求されてきており、上場会社ですら子会社の二重上場を控える動きが進んでいる。パナソニックはわざわざ上場子会社の多くを吸収合併して本体に統一している。サントリーの子会社単独上場はこの動きとは逆行している。

 すべてが上場企業というイメージが強い米国でも、創業家の発言力を守るため、一貫して非上場を貫く会社も多い。創業家の経営権を確保したいなら、正々堂々と非上場を貫けばよい。だがその代わり、資金調達力はある程度制限されてしまう。いいとこ取りはできないのである。
 サントリーとしては、このような中途半端な形態でも、機関投資家を中心に株を購入する投資家は多数存在すると判断してのことだろう。日本の投資家もずいぶんとナメられたものである。

 - 経済

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