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中国機がとうとう領空侵犯。領海侵入と領空侵犯は根本的に意味が違う!

 

 中国国家海洋局の航空機1機が13日、尖閣諸島南約15キロの日本の領空を侵犯し、航空自衛隊のF-15戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。領空侵犯したのは中国国家海洋局の双発機B-3837(写真は同機から撮影された尖閣諸島)で、F-15が現地に到着した時にはすでに領空外に退去していたという。
 国家海洋局は事実上、軍と一体運用された組織であり、中国軍機による日本の領空侵犯は自衛隊が統計を取り始めた1958年以来初めてということになる。
 中国が艦船ではなく航空機で領空侵犯したことの意味は非常に大きい。このことは、中国の尖閣諸島に対する姿勢がまったく別のステージに入ったことを示している。

 国際法上、領海には無害通行権が認められている。つまり敵対的な意志がないことを示せば、他国の領海に入ることそのものは禁止されていないのである。したがって、尖閣諸島近辺の領海に中国の艦船が侵入しても、日本側はある程度抑制した対応を行う必要がある。

 だが領空については無害通行権は認められていない。極論すると領空侵犯した航空機は理由の如何に関わらず、問答無用で撃ち落してよいのだ。したがって、領土問題をめぐる国際的な「ゲーム」においては、領海侵入はよく使われる手段だが、領空侵犯はそうそう実行されない。旧ソ連はしばしば日本の領空侵犯を行ったが、領空ギリギリを飛行するなどの神経戦が中心で、堂々と侵犯することは稀であった。当時の日本は憲法制約上、自衛隊機による攻撃は事実上不可能であり、ソ連側には絶対に攻撃されないという自信もあった。そんな環境でさえ、ソ連は領空侵犯に対してかなり慎重な行動を取っていた。

 今回中国側がいとも簡単に領空侵犯を行ったということは、中国が後戻りできない一線を越えたことを意味している。中国側は、優柔不断な日本政府が中国機を攻撃できないと踏んでいる可能性が高い。もし今後、領空侵犯が繰り返され、既成事実として積み上がれば、尖閣諸島の実効支配権について事実上日本が放棄したとみなされるだろう。中国の狙いはまさにそこにある。

 米国は尖閣諸島問題について、領有権については言及しないが、日米安保の対象には含めるとのスタンスである。だが領空侵犯をめぐって日中両国が局地的な紛争状態に入ることを米側が望まないのは明らかである。しかも尖閣諸島の実効支配権が日中のどちらにあっても、米側の戦略にはあまり影響しない。
 中国としては、日本に領有権を放棄させることはおそらく考えていない。現在日本が持つ尖閣諸島の実行支配権を中国が奪い取ることが、当面のゴールである可能性が高い。日本政府がかなり追い詰められてきているのは間違いない。

 - 政治

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