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EUが銀行監督一元化で合意。欧州は後戻りできない道に入った!

 

 欧州連合(EU)は13日に開いた財理事会で、ユーロ圏の銀行監督業務をECB(欧州中央銀行)に一元化する案について合意に達した。欧州では銀行の監督や破たん処理といった規制監督業務をすべて一元化するプラン(いわゆる銀行同盟構想)が進められており、今回の監督業務の一元化はその第一歩となる。
 だが銀行同盟は単独で成立するものではなく、必然的に財政同盟とのセットになる。今回の銀行監督業務一元化をきっかけに、EUが本格的な統合に向けて動き出す可能性が出てきた。だがそれはもはや後戻りできない道でもある。

 今回の監督一元化によって規制の対象となる銀行は200行に達しする見通し。各国の主要銀行や政府支援を受けた銀行はほぼすべてECBの監督下に入ることになる。またECBは、問題が発覚した際には欧州に約6000行存在するすべての銀行に対して介入することができるようになる。これまで銀行の破綻が国家の債務危機と連動するといった事態が生じていたが、銀行業務と各国財政が切り離されることで、信用不安を軽減することが可能となる。

 だがこれは必ずしもいいことばかりではない。金融システムと財政というのは不可分な存在であり、銀行同盟を推し進めていけば、必然的に財政統合、さらには国家統合への道を歩まざるを得なくなる。これまでEU各国は本格的な統合をあくまで「理想像」としてきたが、銀行同盟、財政同盟が現実のものになれば、そうは言っていられなくなる。EUの本格統一が現実的な話になると、これまで覆い隠してきた諸問題が一気に噴出する危険性があるのだ。

 ドイツ経済は現在絶好調だが、これはEUによる統合メリットと国家というカベが存在するメリットのいいとこ取りをした結果である。 ドイツ企業は通貨統合のメリットを生かし、ギリシャやスペインに次々に進出して大きな利益を得た。だが両国が危機に陥ると、国が異なることを理由に、ドイツには救済の義務はないと主張し、負担を拒んでいる。だがすべてのカベが取り払われれば、ドイツ政府の権限は大幅に低下し、欧州域内の競争力の弱い地域に対する救済義務が生じてくるのだ。
 フランスも同様である。フランスは自国の労働者を保護するため、企業に対して様々な規制を加えている。このおかげでフランスの労働者は、欧州でもっとも高い賃金を謳歌できている。だが本格的な統合が進めばこういった甘えは許されなくなる。東欧と西欧では賃金が2倍程度違うといわれているが、フランス人の賃金は間違いなく、低い方に収束していくだろう。

 これまでの欧州は「完全統合を目指すが、いつになるのかは誰にも分からない」という曖昧なスタンスを続けてきた。今回の議論でドイツはECBへの急激な権限集中を望まず、合意内容が一部修正された。また英国はこの監督一元化には参加しない方針を明らかにしている。だがこういった一種の時間稼ぎともいうべき態度は、そろそろ限界に達している。
 欧州問題の本質は、統合が中途半端であることに起因している。だが欧州を本当に統合してしまうと、間違いなく経済水準の低い国に全体が引っ張られることになる。だがモラトリアムの時期は終わりつつある。市場では欧州経済の本当の実力が試されようとしているのだ。

 - 政治, 経済

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