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通貨マフィアのディナー?教科書にも載っていない量的緩和策が突然メジゃーになったワケ

 

 国際決済銀行(BIS)本部で開かれる各国の中央銀行総裁による非公式の夕食会が、世界の金融政策に大きな影響を与えているとウォールストリート・ジャーナルが報じている。

 夕食会は2ヶ月に1回、日曜日の夜に、スイスのバーゼルにある国際決済銀行本部(写真)18階で行われている(ライン川が見渡せる部屋らしい)。バーナンキFRB議長や欧州中央銀行のドラギ総裁をはじめとする各国の中央銀行総裁が顔を揃えており、日銀の白川総裁も参加しているという。
 この夕食会には外部の人間はもちろん、中央銀行の職員も参加せず、記録も残さない。このため、各国の総裁がホンネで情報交換を行っており、金融政策の立案に大きな役割を果たしているという。

 これまで経済学の教科書にすら載っていなかった量的緩和策が、突如世界的な金融政策の主軸になったのは、この夕食会がきっかけだという。
 バーナンキ議長とドラギ総裁はともにMIT(マサチューセッツ工科大学)の出身なのだが、MITには景気は政府がコントロールできるという思想があり、夕食会の場で2人は意気投合し、このアイデアを昇華させていったというのである。

 かつて各国の中央銀行総裁や財政当局の高官は、定期的に非公式の会合を持ち、情報を共有していたことから「通貨マフィア」と呼ばれていた。彼らは所属する国と組織の利益を代表する立場である一方、通貨政策に責任を持つ少数の集団として特殊なエリート意識を持っていた。マフィアと呼ばれるのは、閉鎖的でプライドが高いからである。つまり、彼らは世界最高の知性にも、最低のクズ野郎にもなりえる存在というわけだ。国際決済銀行における夕食会も、典型的な通貨マフィアの会合の一つといってよいだろう。

 中央銀行の独立性は、過去の歴史から導き出されてきた消去法的なルールである。それは「民主主義はどうしようもない制度だが、他の制度に比べればまだマシだ」というチャーチルの名言に近いものがある。
  本来、民主国家においては、特定少数の人間が政策を独自に、しかも非公式に決定することなど許されるはずがない。だが民意はしばしば衆愚に陥る。中央銀行に無限の財政引き受けを要求した結果、歴史は何度もハイパーインフレを繰り返してきた。中央銀行の独立性は、この苦い経験から得られた教訓であり、戦争と並んで人類が生み出した最大の「必要悪」でもある。決して金科玉条のように振りかざすものではない。通貨マフィアの人たちは「誇り」と「罪悪感」の両方を持たねばならない存在なのだ。

 一種の特権的な立場を与えられた通貨マフィアに対しては、極めて高いレベルの説明責任が要求されて当然である。それがイヤだというなら、そのような仕事は引き受けるべきではない。また彼らに対して質問する立場のエコノミストやジャーナリストは徹底してシビアである必要がある。それが彼らに対する礼儀といえるだろう。

 - 政治, 経済

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