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アップルが大型TVを開発中?シャープが液晶を受注するためには鴻海の傘下入りが必須?

 

 米アップルが台湾の鴻海精密工業と共同で大画面TVの開発を進めているという。米ウォールストリートジャーナルが報じている。

 同紙によると、アップルは大画面スクリーンを使ったTVのデザインをテスト中であり、これに鴻海が深く関与しているという。またTVの液晶パネルの供給元にはシャープの名前が上がっているという。ただ、TV開発プロジェクトそのものは、まだ初期段階であり、すぐに製品化されるものではないとしている。

 コンシューマー分野における覇者を狙うアップルにとって、インターネット機能を搭載したTVは最後に残された大本命の市場。家庭用のTVにアップルが進出できれば、人々が使用するほとんどの電子機器をアップルのサービスに接続できることになり、同社に計り知れないメリットをもたらす。

 そもそもコンピュータ、電話、TVはまったく別の産業として成長してきたものであり、相互の技術的親和性は低かった。だがインターネットの普及によりコンピュータと電話についてはコンピュータ側の主導で融合が進んできた。それを製品として具現化したのがiPhoneでありiPadだ。

 一方でTVとコンピュータの融合はまだ進んでいない。TVという巨大市場をめぐり、どちらの技術が融合の主導権を握るのかが次の焦点になっていた。かつてはこの分野のリーダーはソニーであった。AV機器で圧倒的な影響力を持つ同社が、インターネット技術を取り込む形でTVとコンピュータを融合させると考えられていた(当時のアップルは弱小のパソコン・メーカーでしかなかった)。
 だがソニーは自社の技術に対する過信から融合戦略に失敗、経営危機に陥る状況となり、戦略的なプロジェクトに取り組める状況ではなくなった。結果的に大躍進したアップルがこの分野の最有力候補というわけである。
 だがTVの分野はコンピュータとは異なるカルチャーであり、融合はそう容易ではない。アップルもそのあたりは熟知しており、慎重に製品化の準備を進めていると考えられる。

 アップルが本当のこの製品を商品化することになった場合、液晶の供給元には巨大なビジネス・チャンスが転がり込むことになる。シャープにとっては経営危機から脱却するきっかけになると期待されている。だがことはそう簡単に進まない可能性が高い。
 液晶パネルの生産には、同社の堺工場が使用される可能性が高いといわれているが、堺工場はすでにリストラの一貫で鴻海のオーナーである郭台銘氏に売却されている。同工場はシャープの連結対象からはずれており、アップル向けに稼働率が上昇してもシャープ全体が潤うわけではないのだ。
 アップルの大画面TVがシャープ浮上のきっかけとなるためには、シャープが完全に鴻海の傘下に入り、事実上一体のものとしてアップルに対応することが必要だ。記事ではアップルがTVの開発を断念する可能性も示唆している。
 シャープの将来は、アップルと鴻海の交渉に大きく依存することになってきた。

 - 経済, IT・科学

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