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米国で移民の国外退去を猶予する政策が不調。すでに時代は次のフェーズに進んでいた

 

 オバマ大統領が選挙対策の目玉として発表した不法移民の強制送還を猶予する政策が思いのほか効果を上げていないことが明らかになってきた。

 オバマ大統領は2012年6月、子どもの時に米国に入国した不法移民のうち、一定の条件を満たした人の強制送還を猶予する政策を発表した。16歳前に入国し現在30歳未満の犯罪歴のない若者で、学業成績が優秀もしくは兵役を務めた者は2年間送還が猶予されるというもの。また過去5年以上米国に継続して居住していたことを証明できれば、就労許可申請も可能だという。

 米国では昨年、過去最高の39万6906人の不法移民を国外退去させたが、移民の数は増える一方となっている。移民の流入に対しては米国人の職を奪うとして反発する声がある一方で、不法移民なくしては米国の産業が成り立たないという現実もあり、移民受け入れに積極的な意見が増えてきている。
 オバマ大統領は有権者の20%近くを占めるまでになったヒスパニック系に配慮して、不法移民の強制対処を猶予する政策を打ち出していた。

 その効果もありオバマ大統領は再選されたわけだが、肝心の猶予政策に対して、多くの不法移民が申請しないという事態が生じている。その理由は、猶予申請がいわば「やぶへび」となり、強制退去のきっかけになってしまうことを恐れているからだといわれている。確かに今回の政策ではあくまで2年間猶予されるだけであり、米国への永住が保障されるわけではない。
 この事態に国土安全保障省のナポリターノ長官は、申請された個人情報は他の省庁に渡すことはないと説明しているが、あまり効果は上がっていないようである。

 だがこのことは米国の移民が置かれているもう一つの側面を表している。不法移民の存在はもはや当たり前になっており、不法移民であることが、就学や就職において大した障害にはなっていないということである。不法移民の中には法的なお墨付きを得なくても、十分に現在の生活を継続できると考える人も少なくないのだ。
 米国をはじめ経済が好調なドイツなどには多くの移民が押し寄せ、社会の中で一定の立場を確保しつつある。移民の法的な立場をどうするのかについては、今後も紆余曲折を経る可能性が高いが、少なくとも一般社会のレベルでは、移民が存在することに疑問を差し挟む余地はなくなっているようである。

 日本でも一時期、移民受け入れの議論がなされていたが、現在では下火になっている。その間に、日本は経済的魅力をなくしてしまっており、今後日本に移民を希望する人はそれほど増加しないことが予想される。むしろ今後、日本人が移民として国外に流出することについて、本気で対策を講じなければならない時代がやってくるのかもしれない。

 - 政治

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