ゆうちょ銀行が住宅ローン参入。フランスにはその未来予想図がある
ゆうちょ銀行は個人向け住宅ローンへの参入を総務省と金融庁に認可申請した。両省庁は、郵政民営化委員会の意見を踏まえて認可の可否を判断するという。
ゆうちょ銀行の住宅ローンへの参入をめぐっては、民業圧迫になるとの反発が出ている一方で、政治サイドからは年収400万円以下の低所得層に対するローンや、50年の超長期ローンに対する要望も出ている。
いずれにせよ巨額の資金を持つゆうちょ銀行が住宅ローンに参入すると、低金利競争が加速し、無理な融資が横行する危険性が懸念される。
折りしもフランスでは、低所得者向けの住宅融資銀行(CIF)が破綻の瀬戸際に立たされている。仏政府は仏郵便貯金銀行(フランスにも郵貯がある)に対して救済を要請しており、最終的には政府が救済する方向で検討が進んでいる。
過剰な住宅融資が引き金となり、郵便貯金システムを通じて最終的に政府にしわ寄せが行く構図は、日本の未来予想図だとの声もあがっている。
すでに日本には住宅が供給過剰で、賃貸住宅は余っている。また産業の空洞化で失業率が高止まりする可能性が高い。ゆうちょ銀行の住宅ローンへの参入は慎重に検討する必要がある。
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