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大統領選挙でも争点に!韓国の財閥支配の温床「循環出資」とは?

 

 韓国は財閥が支配している国として有名である。韓国における財閥の影響力は極めて大きく、そのあり方をめぐっては政権を巻き込んだ争いとなることもめずらしくない。今回の大統領選挙においても経済民主化と財閥改革が主要な争点のひとつとなっており、その中で、韓国財閥の特徴的な資本構造である「循環出資」がやり玉に上がっている。

 循環出資とは文字通り、財閥系企業が循環的に相互に出資する形態のことを指す。
 例えば、サムスン電子はサムスンカードに出資し、サムスンカードはサムスンエバーランドに出資する。サムスンエバーランドはサムスン生命に出資し、そしてサムスン生命はサムスン電子に出資する。
 こうして一連の出資はグループ企業をグルグルと回り続けることになる。

 一般的に会社は株主に所有権がある。法律上、会社の経営者は株主の意向に従わなければならない。だが循環出資をしてしまうと、最終的には自分の所有者は自分ということになり、誰の言うことも聞かなくてよいという無法地帯になる。各グループ会社に少しずつ出資しているサムスンのオーナー一族だけが、会社全体に影響力を行使することができるようになる。こうすることによって、オーナーの李一族は少ない出資でグループ全体を支配しているのである。これは一種の資本マジックといってよい。

 韓国ではこの循環出資が財閥支配の温床とされ、法律で禁止することが検討されている。だが、欧米を含めて循環出資そのものを法律で禁止している国はない。米国など資本主義が発達した国では、株主の所有権を有名無実化するような不透明な会社には誰も投資などしない。法律で制限するまでもなく、循環出資そのものが成立しないのである。
 だが韓国では財閥という「権威」が目の前にあると、どんなに経営が不透明でも皆が群がって投資するのでこの形態が成立してしまう。循環出資を法律で規制しようという動きは、ウラを返せば循環出資の存在を是認しているわけで、ある意味で韓国社会の後進性をよく表した事例といえるだろう。

 だが韓国の循環出資とよく似た資本構造を持った国がもうひとつある。そう、我が日本である。
 トヨタは豊田家がオーナーとして君臨しているが、豊田家の持分だけでトヨタグループをすべて支配することは不可能である。だがトヨタグループは相互に株を出資しており、これによって豊田家は少ないシェアにも関わらずオーナーとして支配することが可能となっている。上場基準などの面で韓国より厳しい面はあるが、形態としては循環出資に近い。

 もっとも、サムスンの李一族やトヨタの豊田一族は、オーナーとして自らの全財産を会社に捧げており、その分だけまだマシといえる。日本ではオーナーが存在していないにも関わらず「持ち合い」と称して、相互に株式を出資し合う形態が横行している。
 オーナーの存在しない相互出資など、まさに無法地帯そのものであり、誰も責任を取らない無責任社会の象徴といえる。だが日本の機関投資家はこのような不透明な会社にもホイホイ投資してしまうので、会社側は完全に投資家をナメ切っている。しかも日本のマスコミは株式の相互持ち合いについて「日本的経営のすばらしさ」などと褒めちぎっていたのだから開いた口が塞がらない。ある意味で日本は韓国以下である。

 韓国と日本は、資本主義の制度をよく理解できず、一般株主の権利を侵害する経営形態がまかり通るという意味で、非常によく似ている。だが両国の国民とも、海外の投資家の多くが、両国の市場について賭博場という程度の認識か持っていないということを、ほとんど理解していないようである。両国が本当にグローバル化するまでの道のりは遠い。

 - 経済

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