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安倍総裁が2%の物価目標を日銀に要請。その結果、経済はどうなる?

 

 自民党の安倍総裁は18日午後、党本部で日銀の白川総裁と会談し、物価目標を2%とする政策協定(アコード)を締結したいとの意向を伝えた。安倍氏からの要請を受けた日銀は19日、20日の金融政策決定会合において2%物価目標について正式に議論を行った。政策協定の内容については、早ければ来月にも結論を出す。

 今回の総選挙では、金融政策も争点の一つとなった。積極的な緩和策を主張する安倍氏が首相に内定したことで、日銀は緩和策の拡大に踏み切らざるを得ない状況に追い込まれた。だが、日銀が政権の求めに応じ2%の物価目標を受け入れた場合、逆に金融政策の限界が露呈するという皮肉な状況に陥る可能性も出てきたといえる。それはどういうことか?

 安倍総裁がどの程度認識しているかは不明だが、量的緩和策と実質GDPの成長には直接的な関係はない。量的緩和を拡大すれば、名目上の物価やGDPは上昇するかもしれないが、実質成長が伴う保証はどこにもないのである。名目上の物価が上昇すれば、企業の設備投資が促進され、需要が増加して実質GDPも上昇するだろうという期待をベースにした政策といえる。
 量的緩和による物価の上昇はあくまできかっけであり、最終的に需要の増加に結びついて初めて実質GDPの成長が実現する。そうなるとむしろ重要なのは政府の対応ということになり、日銀に投げた球が政府に返ってきてしまうのである。

 企業の設備投資を活発にするためには、公共事業を中心とした財政政策を実施するか、減税や規制緩和といった競争政策を導入するかのどちらかとなる。制度疲労を起こし国際競争力を失っている日本の産業構造を考えると、大胆な規制緩和が必要と思われる。だが、現在の自民党に規制緩和を実施する選択肢はあり得ないため、必然的に公共事業の拡大という選択になるだろう。
 安倍政権の成立後、すみやかに補正予算が組まれる公算が高いが、補正予算を投入しても予想通りに実質GDPが成長するかどうかは微妙な状況だ。もし期待する成長が得られない場合、来年度予算以降で際限のない公共事業の拡大に追い込まれるリスクがある。ここに無制限の量的緩和策が加わった場合、予想外のインフレを引き起こす可能性も否定できない。

 日銀の無策を批判しているまではよかったが、実際に金融政策が動き始めてしまうと、実は選択肢がほとんどないことに気付かされる。インフレを伴う悪質な財政政策という、誰も望んでいなかった道に日本は突入しているかもしれないのである。

 - 政治, 経済

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