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朴槿恵氏の大統領就任で韓国経済や日韓関係はどうなるか?

 

 与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)候補が大統領に選出されたことで、韓国はどのような国になるのだろうか?また日韓関係にはどんな影響があるのだろうか?

 今回の選挙では、野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補が大統領に選出された場合には、韓国の政策は大きく変更される可能性があった。だが朴氏が当選したことで、大きな路線変更はないと見る向きが大半だ。

 朴槿恵氏は韓国の軍事独裁政権時代の大統領である朴正煕氏の長女。彼女が属する与党のセヌリ党は、朴政権時代の民主共和党や、全斗煥(朴大統領暗殺後、クーデーターによって大統領に就任した)政権時代の民主正義党など、軍事政権時代に存在した政党をベースに、民主化のプロセスを経て出来上がった政党である。韓国の中心的な保守政党であり、タイプ的には日本の自民党に近い。
 これに対して文在寅(ムン・ジェイン)候補が属する野党・民主統合党は韓国の民主化運動のリーダーであった金大中氏をルーツとする政党。一部にはかなり左翼的な人も含まれており、日本の民主党に近い政党といえる。

 今回の大統領選では、経済民主化(財閥支配からの脱却)や米韓FTAの扱いが争点となっていた。与野党とも財閥中心の経済構造の変革を訴えているが、そのやり方には温度差がある。財閥支配の温床とされた「循環出資」についても、セヌリ党は新規を禁止するのみで現状は追認する姿勢だ(本誌記事「大統領選挙でも争点に!韓国の財閥支配の温床「循環出資」とは?」参照)。また韓国に不利な条項が含まれているとして、日本のTPPと同じような議論が沸き起こっていた米韓FTAだが、朴氏は現状維持を主張しており大きな変更はない可能性が高い(本誌記事「韓国大統領選はFTAをめぐって政策が真っ二つ。日本のTPP論争にも影響か?」参照)。
 韓国では李明博政権以降、原発の輸出に力を入れており、朴氏もその流れを引き継ぐと考えられる。韓国の原発は独自技術と称しているが、かなりの部分を日本のメーカーに依存している。韓国の原発輸出が進めば、日本の製造業にとっても追い風となるだろう。

 通貨政策については韓国企業の競争力強化の観点から、両候補ともウォン安を政策を主張していたが、その実効性については疑問視されている。安倍政権の登場で緩和策の拡大が進めば、巨額の円売り資金が市場に出てくることが予想される。弱小通貨ウォンが安値を維持するのは不可能だろう。

 竹島問題については大きな進展は期待できない。ただ、朴槿恵氏の父親である朴正煕元大統領は日本の陸軍士官学校の出身で、植民地満州で軍人をしていた人物である。また日韓基本条約締結の中心人物でもあることから、朴氏と日本の自民党との間には、表、ウラを含めてかなり太いパイプがある。反日色が極めて強い文在寅候補に比べると親日度が高くなることは間違いない。ただ韓国で朴槿恵氏は日本寄りと批判されることも多く、大幅な譲歩をすることにはリスクが伴う。外交関係という意味では現状維持だろう。
 ただ米国関係という意味では、親米色が強くなることが予想される。安倍政権も日米関係を強化しようとしており、日米韓の同盟関係は強化されるかもしれない。米国を軸に日韓が協力して、中国やロシアに対して影響力を行使するという、自民党政権時代の国際的な枠組みが再度復活することになるかもしれない。

 - 政治, 経済

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