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安倍総裁が「ぶら下がり取材」の拒否を表明。背景には日本人の知性の劣化がある

 

 自民党の安倍総裁は、野田首相と同様、首相官邸で記者団の質問に答える、いわゆる「ぶら下がり取材」に応じない方針を固めた。安倍氏は首相時代、記者団の前で立ったまま短い質問に答える形式をとっていたがこれを取りやめる。

 かつて首相は、記者からの「ぶら下がり取材」に応じるのが慣例であった。だが野田首相は初めてこの慣行を拒否し、記者会見のみで記者からの取材に対応することとなった。
 「ぶら下がり」取材の是非は、その国の成熟度を示す非常によい尺度となる。「ぶら下がり」では突発的な質問も出てくるので、政治家はよほど理念や立場を明確にしていないと、すぐボロが出てしまう。政治家にとってはできるだけ受けたくない取材だ。

 英国では、こういった現場での取材に対するコメント能力は政治家の重要な資質とみなされており、キャメロン首相などは、本当にマメに取材に対応している。日本でも小泉元首相のように才能のある政治家は「ぶら下がり取材」を拒否することはない。つまり「ぶら下がり取材」を拒否する政治家は、基本的に自信がなく、国民に選ばれた意識のない人とみてよい。

 だが事はそう単純な話にとどまらない。「ぶら下がり取材」は質問するマスコミ側の能力も試されるのだ。一瞬で重要なコメントを引き出すためには記者にも相当な能力がなければならない。だが現実のマスコミはあまりにも低レベルで、くだらない質問のオンパレードである。これでは「まともな質問がなく、取材に応じる意味がない」として「ぶら下がり取材」を拒否する政治家に格好の口実を与えてしまう。実際、意味がないので「ぶら下がり取材」はやめた方がよいのではないか、という意見を持つ国民は多いのではないか?

 国民への説明を嫌がる政治家と、レベルの低いマスコミ。ダメになっていく国はこのようにして民主主義が衰退していくのだろう。最後には、記者会見で報道官が居丈高に一方的にコメントし、記者はそれをただ垂れ流すだけという、中国のような国になるのかもしれない。
 恐ろしいことに「政治家とマスコミは国民を映す鏡」という格言が存在する。つまりこのような事態を招いているのは、能力のない政治家のせいでも、バカなマスコミのせいでもなく、劣化が進んできている我々国民のせいなのである。知性の劣化した国に人権など存在するはずがない。

 - マスコミ, 政治

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