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朝日新聞が米国のWebニュース・ベンチャー企業と提携。後進国日本の悲しい性

 

 朝日新聞社と米ハフィントン・ポスト・メディア・グループは14日、「The Huffington Post」の日本版の立ち上げについて基本合意したと発表した。合弁会社を日本国内に設立し、来春のサービス開始を目指すという。

 米国では紙媒体を持たずインターネットだけで展開する新しいニュースサイトが、すさまじい勢いで普及している。ハフィントン・ポストはその象徴的な媒体で、月間4600万人の利用者がいるといわれている。2005年の開設以来、あっという間に急成長し、2011年にはAOLが同社3億1500万ドルで買収して大きな話題となった。

 米国において、このような新しいジャーナリズム企業が急速に発展している背景には、Webサーバーを運営するコストが劇的に低下しているという物理的要因が大きく影響している。
 これまでもWebメディアはいくつか存在してきたが、運営にはそれなりのコストが必要であった。だがここ数年で、フリーソフトウェアやフリーサービスという新しい概念がネット上に次々に登場し、従来とは比較にならないくらい、Webメディアの運営コストが下がってきている。
 社会の価値観が多様化し、マス向けの画一的な情報しか取り扱えない既存マスメディアとのミスマッチが大きくなっていたところに、インフラの劇的な価格低下が重なったことで、さまざまな種類のニッチ・メディアが大量に登場するという状況になっている。

 だがこれも起業家精神溢れる米国での話。米国と同様、日本においてもネット・インフラのコストが劇的に下がっているにも関わらず、このような媒体はあまり登場していない。日本では国家権力によって保護された大手マスコミが市場を独占する状態が続いている。

 ネット媒体と紙媒体は本質的に競合相手であり、朝日新聞がハフィントン・ポストと提携するのは自己矛盾的な行為といえる。Web媒体が今後市場のシェアを獲得すると考えているのであれば、朝日新聞本体がWeb化すべきであって、外国のWebメディアと提携する意味はない。
 また新しい形態の媒体を模索したいのであれば、米国からの舶来品を有難く頂戴するのではなく、正々堂々と自社で新媒体を展開すればよい。

 旧来型の保護産業の企業によくありがちなパターンだが、今回の朝日新聞の取り組みは、新しい分野にも積極的に関わっているというエビデンス作りくらいにしか役に立たないだろう。事業がうまくいかなかったとしても、世界的に有名なハフィントン・ポストとの提携であれば言い訳ができて、責任者もクビにならずに済む。保護産業の社員にとってはクビにならずに定年まで勤め上げ、退職金をゲットすることは、何よりも大事なことなのである。

 ITの世界でも、国内にある優秀な技術には目もくれず、米国で成功したベンチャーに日参し、大金を払っては提携させてもらうというケースが横行していた。日本での展開がうまくいかなくても米側はしっかりとロイヤリティをもらうので決して損はしない。逆に予想外にうまく行った場合には、日本法人を設立して直接進出されてしまうのがオチだ。

 外国企業との提携とは所詮そんなものである。だが米国で成功したベンチャーに群がる日本の大企業は後を絶たない。自国が生み出すものに自信を持てない後進国の悲しい性なのである。

 - マスコミ

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