ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

自民党が伝統の「党税調」を復活。だが、かつての税制利権につながるとの声も

 

 自民党が政権に復帰したことをうけて、これまで事実上消滅していた自民党の税制調査会がとうとう復活した。19日、党本部で非公式の幹部会を開き、2013年度税制改正大綱について議論を開始した。また14年の消費増税に向け、軽減税率の導入時期などについても協議する予定。

 自民党の税制調査会(党税調)は、自民党単独政権時代、税制に関するほぼすべての権限を握る絶対的な存在であった。
 政府が運営する税制調査会(政府税調)は有名無実であり、党税調のドンといわれた山中貞則氏は「政府税調を軽視している」との批判に対し、「軽視しているのではない。無視している」と言い放ったことさえあった。

 民主党政権になり、税に関する議論は政府税調に一元化された。だがうまく機能せず、民主党の税調を設立するなど迷走が続いていた。今回自民党が政権に復帰したことで、伝統的なスタイルである党税調主導の方法に戻ることになった。現在ある政府税調については「なくなる」(野田毅税制調査会長)見込みだ。

 政権与党が税制に関する道筋を決定するのは、議会制民主主義のルールを考えればまったくもって正しいことである。迷走していた税制の議論が党税調に集約されることで「分かりにくさ」も解消されることになる。だが自民党の税調は、税の特例措置という利権の温床であったことも忘れてはならない。
 今回、消費税が増税され社会全体の税負担が増大することから、各業界では自分達に有利な特例措置を引き出そうと、露骨な政治工作を始めている。党税調の復活はこうした利権政治の復活につながる可能性もあるのだ。

 日本は諸外国に比べて法人税の負担が大きく、企業の競争力を阻害しているといわれている。だが実体はかなり違う。法人税には業界ごとに特例措置というものが無数にあり、税金を免除されている企業が多いのだ。しかも税金を免除される企業のほとんどが政治力のある大企業に集中している。
 例えば研究開発税制という研究開発に対する税控除では、適用された2450億円のうち、2177億円が大企業であった。こうした制度が山のようにあり、日本の大企業は実質的に30%程度しか法人税を負担していないのである。まともに法人税を払っているのは、中小企業や政治利権のないベンチャー企業だけであり、日本で新しい産業が発展しない大きな原因の一つとも言われている。

 自動車業界では、自動車取得税や重量税を廃止すべく露骨なロビー活動を行っている。各業界が特例措置を要求すれば、せっかく消費税を増税しても、すべてが骨抜きになってしまいかねない。
 党税調への議論の一元化はよいことだが、かつての党税調のような利益誘導政治の温床になっては政権交代のプロセスを経た意味がない。党税調には透明性のある議論が求められる。

 - 政治

  関連記事

tanbo
TPPを前にとうとう減反政策を転換。だが日本のコメ農家は大規模化で強くなれるのか?

 政府は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の締結を視野に、50年にわたって …

obamaabepaku
安倍首相が韓国語で挨拶。日韓首脳会談はとりあえず終始友好ムードで終了

 安倍首相は2014年3月26日、オランダ・ハーグにおいて、オバマ米大統領、朴槿 …

kasutoro
カストロ議長が死去。キューバに厳しいトランプ大統領の誕生で両国関係はどうなる?

 キューバ革命を起こし、反米的な社会主義政権を50年以上にわたって率いてきたフィ …

bhutan
「幸せの国ブータン」で初の政権交代。理想は大事だが、識字率50%という現実は重い

 ヒマラヤの山中に位置する王国ブータンで7月13日、国民議会(下院)の選挙が行わ …

putin02
プーチン大統領が離婚をカミングアウト。世界的に進む権力者の透明化

 ロシアのプーチン大統領がリュドミラ夫人と離婚したことを明らかにし、大きな話題と …

asohadaijin201406
麻生大臣による「守銭奴」発言。表現は下品だが、本質を突いている

 麻生財務大臣は2015年1月5日、日本企業が内部留保を蓄積していることについて …

tocho
都庁職員が猪瀬知事のツイッター活用指示に困惑。なぜ公務員はITを駆使できないのか?

 猪瀬直樹東京都知事が、全部局に支持したツイッターによる情報発信に都庁職員が苦慮 …

ribiatero
米国が中東で2つの対テロ作戦を同時遂行。今後はこうした「見えない」戦争が中心か?

 米軍は10月5日、リビアとソマリアにおいてほぼ同じタイミングで特殊部隊による対 …

hoikuen
保育園の騒音を巡る裁判。試される価値観多様化の社会

 神戸市で保育園の「騒音」をめぐって裁判となっている。保育園の近くに住む70代の …

ryusigun
中国鉄道省元トップに執行猶予付きの死刑判決。事実上の減刑に国民からは批判の声

 中国最大の利権官庁であり汚職の温床ともいわれてきた鉄道省の元トップに対する汚職 …