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薬のネット販売規制解除へ。最高裁は常識ある判断を下した

 

 利権の温床、抵抗勢力の象徴といわれた薬のネット販売禁止措置がようやく廃止される可能性が高まってきた。厚生労働省が省令によって市販薬のインターネット販売を規制したのは違法だとして、国に薬のネット販売を行う権利の確認などを求めていた裁判の上告審で、最高裁は21日、事実上、国側を敗訴とする決定を下した。
 最高裁は上告審の判決期日を来年1月11日に指定。二審の結論変更に必要な弁論が開かれないことから、国側敗訴とした二審判決が確定する見通しとなった。

 インターネットでの薬の販売を禁止する厚労省の省令は、近年稀に見る行政の横暴といえる。
 この背後にあるのは、薬の対面販売を義務付け、販売資格を公的資格にして天下り利権を作ろうという厚労省の思惑と、ネット販売にシェアを奪われる事態を恐れたドラッグストア業界が結託した政治利権である。さらにタチの悪いことに両者は薬害被害者を焚き付け、彼らにネット販売禁止運動をやらせるという姑息な手段を用いて規制を強化しようとしていた。

 コンビニでも購入できる一般的なカゼ薬をネットで販売しても何の問題もないことくらい誰の目にも明らかである(ネット販売を原因とする事故は1件も起こっていない)。また地方では10キロ圏内に薬局がないところも多く、ネット販売の禁止は逆に国民を危険にさらす可能性すらあった。

  厚労省の規制に対してはネット業界や一般消費者が猛反発し、厚労省が開催した検討会には楽天の三木谷社長が自ら乗り込み、規制反対を訴えたが、厚労省側は聞く耳を持たなかった。
 今回の裁判で原告となっていたのは、楽天のグループ会社である「ケンコーコム」など2社。同社らは、厚労省の規制は過度で、憲法で保障された営業の自由を侵害していると主張。これに対し国側は、副作用リスクのある医薬品は専門家による対面での情報提供が不可欠で、規制には合理性があるとしていた。
 一審では、国の規制を認める判決が出た。二審では省令による販売規制は法律の委任の範囲を超えて違法と判断されが、今度は国側が上告していた。今回の決定によって、2009年の訴訟開始以来3年を経てようやくネット事業者と消費者の意向が反映される運びとなった。

 官公庁の利権による過剰規制は薬のネット販売にとどまらない。例えば洗髪サービスをしない理髪店を認めない自治体が多く存在するなど、日本は世界にも例を見ない規制大国である。この規制は「1000円カット」などに代表される格安理髪店から自らの利益を守りたい特定業者の利益を反映しているにすぎない(諸外国では洗髪なしのサービスがむしろ主流)。

 政府や自治体は、経済が衰退するような規制ばかり打ち出している。こんなことをやっていては、日本はどんどん貧しくなるばかりだ。

 - 政治, 社会, 経済, IT・科学

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