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新幹線がさらにスピードアップ。だが高速化はそろそろ限界に達しつつある

 

 JR東日本は21日、来年3月のダイヤ改正を発表した。東北新幹線の「はやぶさ」が国内最速の時速320キロ運転を行い、東京-新青森間を現在より11分短い最短2時間59分で結ぶ。また秋田新幹線は新型車両E6系を使用した「スーパーこまち」の運転を開始する。最高速度が時速275キロから300キロになり、東京―秋田間でこれまでより5分短縮となる3時間45分で結ぶ。

 新幹線の車両は年々高速化されてきている。東海道山陽新幹線が開通した当初は210キロの営業運転だったが、現在では山陽新幹線が300キロ運転を行っている。今回のJR東日本のダイヤ改正によって東北新幹線で320キロの運転が実現する。

 JR各社が高速化を追求しているのは、現在の運賃体系を維持したいという意向があるからである。通常、高速鉄道の飛行機など他の交通機関に対する優位性は営業距離が300キロから500キロ程度の範囲といわれている。
 だが日本では航空行政に問題から航空機の運賃が高く、800キロ程度まで鉄道に優位性がある。つまりJRはかなり広いレンジで事実上の独占営業が可能な状況なのである。
 JRとしては新幹線の高速化をさらに進め、航空機に対する優位性を維持し、価格引下げ圧力を回避したいと考えている。デフレにも関わらず新幹線の運賃が下がらないのにはこのような背景がある。

 だが新幹線の高速化はそろそろ限界に達しつつあるといわれている。技術的にはまだまだ高速化が可能といわれているが、線路の曲線半径やコストの問題でこれ以上高速化することは現実的な手段ではなくなりつつあるのだ。
 また過度の高速化の追求は安全性も犠牲になる可能性がある。新幹線の車両は高速走行を実現するために、次々に軽量化が進められている。初代の東海道新幹線と現在の東海道新幹線の車両を比較すると、30%近くも軽くなっている。だが軽量化と車体の強度は反比例の関係にある。最新のN700系では強度の確保のため窓を小さくするなど、快適性に逆行する設計も行われた。

 日本は人口減少に転じており、輸送量の増大が見込めない社会となってきている。日本の交通インフラは曲がり角に差し掛かっているといってよい。限界に達している新幹線のスピードアップも実はこの問題の延長線上にある。
 価格が高くてもよいので短時間の移動をさらに追及すべきなのか、低価格で網羅性を追及すべきなのか、日本の交通インフラ全体のグランドデザインについてゼロから見直す時期に来ている。

 - 社会, 経済

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