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来年100周年を迎える企業が1425社。このニュースの意味分かります?

 

 来年に創業100周年を迎える企業が全国で1425社に上ることが帝国データバンクの調査で明らかになった。業業種別では小売業の373 社が最も多く、次いで製造業の334社となっている。同社では「景気の浮き沈みを乗り越えて生き抜いてきた『長寿企業』に学ぶべきことは多い」としている。

 この発表を受けてマスコミ各社では、帝国データ社の数字をただそのまま報道しているが、そもそも100周年を迎える会社が1425社があるというのはどういう意味があるのだろうか?多くの人にとってはさっぱり意味が分からないだろう。筆者もさっぱり意味が分からない。
 意味が分からなければ、何とかしてそのニュースが持つ本質的な意味を浮き彫りにするのがジャーナリズムの仕事なのだが、大手マスコミの記者にその気概はないようである。

 では分からないなりに少し考えてみよう。100周年の会社が1425社といっても、それが多いのか少ないのかを比較できる対象がないとその情報には価値がない。他国で同じデータを収集できる可能性は極めて少ないがヒントはある。帝国データでは、この調査において企業の平均寿命を約36年と推計している。企業の平均寿命というデータならば多少は比較ができそうである。

 米国Fortune誌の調査によると、平均的な米国企業の寿命は20年であるという。この数値が正しいとすると、日本には長寿企業が多いということになる。だが話はそう単純ではない。
 100周年を迎える1425社のうち、上場企業は住友化学、ハウス食品などわずか15社、売上高の規模別では10億円未満の会社が全体の8割以上を占めている。つまり10億円未満のあまり大きくない会社に突出して長寿企業が多いということになる。
 一方米国では、Fortune誌のベスト100に選出されている企業の平均社歴は85年となっており、優良大企業の寿命はむしろ長いことが推察される。中小企業については日本においても極端に寿命が短く、中小企業白書では存続期間中央値を5年程度と分析している。

 総合すると、日本も米国も中小企業の寿命は極端に短いが、日本は大企業の寿命も短い。一方で中堅企業の寿命が相対的に長いので平均値が米国よりも高い、ということになる。つまり、米国では優良大企業は日本よりもはるかに体力のあるところが多く、中間があまり存在していない。逆に日本は大企業が相対的に弱く、中間レベルの会社が多いということである。確かに、米国を代表するグローバル企業は社歴も古く、その規模は日本の大企業をはるかに圧倒している。

 日本の大企業が弱く、中堅企業が強い理由は、下請けを中心にした日本独特の産業構造にあると考えられる。日本は市場規模に比べて会社数が多く、しかも系列ごとの下請けヒエラルキー構造となっている。大手企業と下請けの中堅企業は運命共同体となっており、このことが大手企業の寿命を縮め、逆に中堅企業の寿命を伸ばしていると考えられる。
 この構造は高度成長期にはプラスに作用したが、グローバル化が進んだ現代では、日本経済の足を引っ張る原因にもなっている。

 1435社が100周年を迎えたという無味乾燥なニュースも、いくつかの切り口でアプローチしてみるとことで、ようやくその輪郭が見えてきた。

 - マスコミ, 社会, 経済

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