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日本の1人あたりGDPは14位を維持。だがこれは円高でかなりお化粧されている

 

 内閣府は25日、2011年度の国民経済計算確報を発表した。それによると2011年の1人あたりGDPは昨年よりも減少し4万6192ドル(392万6320円)となった。主要国における順位は14位と同じであった。
 1人あたりのGDPが減少したのは、東日本大震災や、世界経済の減速を背景とする輸出減などで日本経済がマイナス成長となったことが要因と考えられる。

 かつて日本は1人あたりGDPで3位になるなど、世界でもトップレベルの豊かさを誇っていた。だが2001年以降、日本の1人あたりGDPは減少の一途を辿り、現在では14位まで低下している。しかもこの順位は、驚異的な円高ドル安に支えられている面が大きい。1人あたりのGDPの国際比較はドルベースで行われるからだ。
 安倍政権の登場によって円安が進むことが期待されているが、円が適性水準まで安くなれば、1人あたりGDPのランクはさらに低下することが予想される。2008年に19位まで低下したことがあるが、20位前後というのが妥当な水準と考えられる。

 日本の経済力低下について、円高のせいにする論調は多い。だが円高は1人あたりのGDPにはプラスに作用する。円高で極めて有利な立場にいながら順位が低下しているという事実は、本質的な問題が別にあることを如実に物語っている。

 では、かつて1人あたりGDPがトップレベルだった時代と比べて何が変わったのだろうか?実は「何も変わっていない」(学術系エコノミスト)のである。といよりもそれが最大の問題なのである。
 豊かだった時代の日本経済は、現在の中国とよく似ている。中国では土地ブームを背景に過剰な消費が行われているだけで、国民生活の向上に寄与するような投資はあまり行われていない。かつての日本も同様であった。好調な税収を背景にバラマキ予算で大量の橋や道路が作られたが、どれも必要性のないものばかりで、国民生活の質の向上には寄与しなかった。フタをあけてみれば何も残っていなかったのである。
 高度成長時代やバブルの時代には何をやっても儲かるが、そんな時代は長くは続かない。その時に得た利益をムダに消費せず、国民生活の質を向上させるための投資に結び付けないと、低成長時代において内需を拡大することはできない。だが日本はとっくに成熟国家になる段階に来ているのに、昔と同様、ひたすら消費するだけの生活なのである。
 産業も同様である。成熟国家としてより付加価値の高いものを生産しなければならないのに、かつての大量生産時代の幻想にしがみつき、アジアの新興国と価格競争するという愚を犯している。
 同じバブル経済といっても、大量のしかも良質の住宅ストックを生みだした米国や欧州とは大違いである。現地で生活したことのある人なら分かると思うが、欧米の住宅の質の高さは日本とは比較にならないレベルだ。

 唯一が日本が誇れる点だった格差の少なさも、今となっては完全に幻想となっている。日本の貧困率の高さは主要国では突出しており、貧困が大きな社会問題となっている韓国と同レベルに達している。
 日本に残っている最後の砦は、主に米国債で運用されている巨額の貿易黒字の蓄積である。この収益によって日本は何とか破産せずに済んでいる。日本はこの貴重な外貨を上手に運用することしか、現在の生活水準を維持する方法は残っていないのだ。

 - 政治, 経済

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