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いよいよ安倍内閣が発足。閣僚人事を見れば政権運営の方向性が見えてくる

 

 衆議院は26日、午後の本会議において自民党の安倍総裁を首相に指名した。参院本会議でも安倍氏は首相指名を受け、第96代内閣総理大臣に指名された。
 第2次安倍内閣の閣僚人事および自民党の党三役人事を見ると、安倍首相の意向がかなり明確に反映されているといってよい。

 まず全体として、党ではなく官邸主導で政権運営を実施したいという首相の意向が強くにじみ出ている。
 石破幹事長は「次」の野心を持っており、幹事長のポストにこだわったといわれている。石破氏には地方組織からの絶大な支持があり、安倍氏としては、石破氏に政権運営の主導権を握られることは何としても避けたいところだ。党三役は、野田聖子総務会長、高市早苗政調会長という布陣になっており、あえて重鎮を配置しなかったと考えられる。

 危機突破内閣というキャッチフレーズの通り、安倍内閣でもっとも重視されているのは経済政策である。閣僚でキーマンとなるのはやはり副総理兼財務大臣の麻生太郎元首相だろう。麻生氏は金融担当大臣も兼務しており、経済に関するあらゆる政策の司令塔となる。同時に経済再生担当相には安倍氏に近い甘利明氏を任命した。甘利氏はさっそく大規模な補正予算の編成と成長戦略策定に言及している。甘利氏の発言は安倍氏の意向を代弁していると思ってよいだろう。

 もうひとつのポイントは太田昭宏国土交通大臣である。太田氏は京都大学工学部土木工学課の卒業で土木の専門家である。国交相のポストは公明党が切望したともいわれており、大型の公共事業が控えていることをうかがわせる。同様に、復興担当相には建設官僚出身の根本匠氏が就任しており、公共事業拡大についてはかなり力が入っている。

 政権公約では条件付きで反対の姿勢を示したTPPだが、尖閣諸島問題における米国の支援と引き換えにTPP推進を迫られる可能性が高くなってきている。閣僚人事を見る限りは、その準備が着々と進められている。農水相の林芳正氏は林義郎元大蔵大臣(通産官僚出身)の長男で、本人も経済政策通として知られている。ハーバード大学ケネディスクール出身でもあり、少なくとも保護貿易を各国に主張するための人選ではない。

 TPPと同様、当初の予想とは反対の政策運営となる可能性を示しているのが、防衛相の小野寺五典氏と外務相の岸田文雄氏だ。
 小野寺氏は対中強硬派として知られるが、防衛関係の経歴はほとんどない。また岸田氏も中国とのパイプや外交経験がほとんどなく、中国では無名に近い人物。もっとも岸田氏は宏池会出身で旧自民党での呼び方を用いればハト派ということになり、穏健外交が期待される。
 中国に対する水面下の交渉は麻生元首相が行っているともいわれており、対中国政策や安全保障政策については、麻生元首相と安倍首相が直接タッチする可能性が高い。

  閣僚人事を見る限りでは、当面は緩和策の拡大と大型の予算編成を通じた経済政策に集中し、外交や安全保障問題は時間をかけて処理していく可能性が高い。少なくとも来年の参院選までは大きな動きは見られないかもしれない。最初の注目点はやはり来年初めの安倍首相の訪米ということになるだろう。

 - 政治

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