エジプトでイスラム憲法が承認。一部では預金引き出しの動きも
イスラム色が強く民主的でないとして反発の声が大きかったエジプトの新憲法が26日、施行された。憲法案の是非を問う2回目の国民投票で賛成が63.8%に達し、選挙管理委員会は新憲法は承認されたと発表。これを受けモルシ大統領が署名を行った。
同憲法はモルシ大統領を支持するイスラム勢力が中心になって起草したもので、2011年のアラブの春(ムバラク政権崩壊)以降、はじめての憲法制定となる。
同憲法に対しては、イスラム色が強過ぎ民主的ではないとの反発があり、カイロで抗議行動が行われていた。またモルシ大統領は事実上三権分立を無効にする大統領権限を打ち出すなど、独裁主義的な傾向を強めている(大統領権限は民主主義グループの反発を受けて最終的には撤回)。
今回の国民投票ではモルシ大統領側による不正行為があったともいわれており、アラブの春によってエジプトが本当に民主化したのか、欧米各国は状況を注視している。
モルシ大統領は憲法施行後初めてとなる演説で、すべての政治勢力に対して対話を呼びかけるとともに、エジプトに投資を呼び込むための措置の導入を計画していることを明らかにした。民主活動家の一部は、対話を呼びかけるモルシ大統領の姿勢に一定の評価をしているが、市場では不安が高まっている。
市内では預金を引き出し、ドルやユーロに両替する人が増えてきており、一部では外貨不足も懸念されはじめている。エジプト政府は、これを受けて外貨の持ち出しを制限する措置の実施を発表した。アラブの春はいよいよ正念場を迎えつつある。
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