ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

まるでデジャヴュ。安倍政権は日本にハイパーインフレをもたらすのか?

 

 量的緩和策の拡大と大規模な財政出動を組み合わせる安倍政権の経済政策「アベノミクス」に市場は大きく反応している。
 これまで冴えない展開が続いていた日経平均はあっという間に1万円を突破。11月には80円前後であった為替も選挙後には85円台まで下落している。これまで円高と株安に苦しんできた日本市場にとっては、まさに「安倍マジック」といったところだろう。

 円安が輸出企業の業績を向上させ、大規模な財政出動が需要の創出に繋がれば、日本経済は回復の軌道に乗り始めるのではないか?市場では早くも経済の本格回復への期待も膨らみ始めている。安倍政権は少なくとも経済面では順調な滑り出しになったといえるだろう。

 だが市場関係者の一部からは、いよいよ日本はハイパーインフレに向かってカウントダウンを開始したという不吉な声も上がっている。

 元モルガン銀行の債券トレーダで、強固な円安論者として知られていたフジマキ・ジャパンの藤巻健史氏は「量的緩和の拡大と大規模な財政出動のセットは危険」と指摘する。円安による資金の国外流出と大規模な財政出動によって国債の消化が困難になり、それが日銀のさらなる資金供給につながり、制御不能のインフレをもたらすというのである。
 藤巻氏は10年近く円安を予想し続けたがことごとくハズれ、最近では狼少年呼ばわりされていた。今頃になって藤巻氏が主張していた政策が実行され、悔しい思いをしているはずである。したがって同氏のインフレ発言は多少割り引いて聞いておく必要があるかもしれない。だがそれでも、同氏の発言には一理あるとの意見も少なくない。

 なにしろ不気味なのが、現在の日本の状況が、ハイパーインフレを引き起こした戦前日本と瓜二つなのである。戦前日本は世界恐慌によるデフレに直面、構造改革か景気刺激策かをめぐって国を二分する激論が戦わされた(現在の構造改革の議論とそっくりであった)。

 結局デフレ克服が優先され、一度首相を経験し引退していた高橋是清が大蔵大臣に就任。高橋はそれまでタブーとされていた日銀の直接引き受けによる大規模な財政出動と量的緩和(当時はそのような呼び名はなかったが)を断行し、日本経済を一気に回復軌道に乗せた。

 首相経験者の財務(大蔵)大臣就任、財政出動と量的緩和の実行、日銀に対する強硬姿勢、これらはすべて麻生財務大臣の姿と重なるのである。

 ではその後日本はどうなったのか?。高橋財政によって景気は回復し、好景気を謳歌したのもつかの間、日本は日中戦争という泥沼にはまってしまった。さらに一度拡大した財政を縮小することは難しく、日中戦争の戦費調達もあって、日銀がさらに紙幣を増刷するという悪循環に陥ってしまったのである。
 その結果は猛烈なインフレであり、万策尽きた日本は狂気の日米開戦に踏み切ってしまう。折りしも、現在の日本は尖閣問題がこじれており、日中戦争前夜という雰囲気である。しかも日米同盟の信頼は戦後最悪の状況だ。

 あくまでこれは歴史のデジャヴュ(既視感)に過ぎない。だが世界でも類を見ない水準の財政赤字を抱えた状態で、量的緩和とさらなる財政拡大を実施する国は未だかつて存在していない。アベノミクスによって日本は前人未到の領域に足を踏み入れたことだけは事実である。藤巻氏の予想が当たらないことを祈るばかりだ。

 - 政治, 経済

  関連記事

no image
復興予算の流用・便乗問題。それは間接的に国民が望んだこと

 東日本大震災の復興予算が、復興と関係の薄い事業に使われていたり、他の予算に振り …

apple
アップルが株主への現金還元を検討。日本経済再生のヒントがここにある!

 多額の現金退蔵が株主から問題視されている米Appleは2月7日、株主への追加の …

naicho
諜報組織所属のキャリア官僚の自殺。原因をめぐって様々な憶測が飛び交う

 東京都内のマンションで死亡しているのを発見された内閣府のキャリア官僚の死因をめ …

abetoruko
トルコとの原子力協定に疑問の声。理論的にはトルコ独自の核武装が可能に

 政府がトルコと結んだ原子力協定の内容が波紋を呼んでいる。日本側が同意すればトル …

facebookcom
米国以外はカネにならない?フェイスブックに見る地域ごとのマネタイズ難易度

 SNS最大手の米フェイスブックは2014年4月23日、2014年1~3月期の決 …

senkaku
中国の外交文書が尖閣は日本領土と記載。だが本質はそんなところにあるのではない

 中国が領有権を主張している尖閣諸島について、領有権を主張する中国側の根拠が揺ら …

setubitousi
企業による国債保有の増加は何を意味しているか?

 企業による国債保有が増加している。背景にあるのは、企業の内部留保の増加と、投資 …

josei
日本の労働力人口は女性フル活用でも大幅減。豊かさの維持には生産性向上が必須

 内閣府は2014年3月12日、長期の労働力人口予測をまとめた。50年後の労働力 …

gehongyo
GEが金融資産大量売却で本業回帰を加速。背景には絶好調な米経済

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は2015年4月10日、同社の金融部門が保有 …

monhiru
公的年金の損失5兆円は株価を考えれば妥当だが、本当にリスク運用でいいのか?

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2016年7月2 …