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香港を飲み込むはずがむしろ逆効果に。中国による香港統治政策は失敗?

 

 香港大学は27日、香港人の意識調査の結果を発表した。それによると、自 らを「香港人」と認識する人の割合が、1997年の返還後で最も多くなっていることが分かった。

 同大学の調査は、「中華民族 の一人」や「アジア人」など計6つの属性の中から自らがどれに属するかを聞き、最高を100として指数化したもの。この中で「香港人」という項目は81.7となり、前回の調査より4.3ポイント上昇した。次いで、「中華民族の一人」「アジア人」と続き「中華人民共和国国民」は最下位であった。

 香港が中国に返還された1997年当時、香港は大国である中国に完全に飲み込まれてしまうという予想がほとんどであった。実際、中国政府は香港を完全に取り込むことを目論んできたが、思ったほど香港の中国化は進んでいないのが実情だ。

 香港人に「中国本土とは違う」という意識を目覚めさせている原動力は、皮肉にも香港を圧倒する水準になった中国本土の経済力なのである。

 中国本土の所得はここ10年で劇的に向上しており、都市部の物価はすでに香港を上回っている。その結果、当初は「成り金」だった中国人も徐々に成熟化が進み、文化に対する理解力が高まってきたのだ。最近では、本土より圧倒的に成熟した香港のレストランや、政府批判や風刺表現も比較的自由にできる香港のジャーナリズムといった文化的な側面が大いに注目され、香港に留学したり、就職したりする本土人が増えているのである。
 一方で、中国内陸部の人たちは、ようやく最近になって経済水準が向上し、ショッピングなどを目的として香港に大挙して押しかけている。彼らの一部はまだまだ「野蛮人」で、高級ブランドの店内で寝転がったり、ホテルの洗面台で靴を洗ったりと、香港人が眉をひそめる行動を繰り返している。香港では「本土人お断り」のステッカーを貼っているタクシーがあるくらいだ。
 この両極端な本土人の出現は、すべて中国の目覚しい経済発展の結果なのである。

 こうした影響が重なり、香港では若者を中心に自らを「香港人」ととらえる意識がより高まっていると考えられる。中国政府は、中国本土と同じレベルの愛国主義を植え付けることを目指した教育方針の導入を試みたが、香港人の根強い抵抗で事実上の撤回に追い込まれた。香港には世界の目が注がれており、暴力的に弾圧して中国に服従させることも難しい。

 現在の香港は、10年後の中国本土の姿なのかもしれない。中国の内陸部も沿岸部と同水準まで成熟化が進めば、やがて中国本土においてもより民主的で文化的な生活に対する欲求が高まってくるだろう。もちろん中国政府が転覆を恐れ、弾圧をしなければという条件はつくのだが。

 - 政治, 社会

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