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安倍首相が外債購入ファンドの具体的検討を指示。もたらすのは円安かインフレか?

 

 安倍首相は麻生太郎副総理兼財務相に対して、「必要に応じた為替介入」や「新たな官民協調の枠組み」など総合的な円高対策 を求めた。新たな官民強調の枠組みとは、官民で設立する外債購入ファンドのことを指しており、年明けから構想の具体的な検討に入る見込みだ。

 自民党は衆院選の公約で、円高対策として「官民協調外債ファンド」を創設を盛り込んでいる。ファンドを通じ て海外の債券を購入することで、市場で外貨買いの実需が発生させ、円安に誘導する狙いだ。

 ただ外債ファンドの設立が通貨安政策と認識されれば、米国をはじめ諸外国からの反発が予想される。財務省は「諸外国から事実上の為替介入とみなされる可能性がある」として慎重な姿勢を示している。
 甘利明経済再生・経済財政相は28日午後「公約には具体的な決定事項としては書いていない」とし、あくまで検討中であることを強調した。だが一方で「諸外国の懸念とならないような策があるかないか検討するということがあってもいい」と述べ、ファンド設立に前向きな考えを示した。

  ファンドが設立されれば、その規模にもよるが、一定の外貨買い需要が発生することになり、円高に対してそれなりの効果を発揮することは間違いない。また市場では貿易赤字の定着や緩和策の継続などから円安がさらに進むと見る向きが多く、結果的に外債ファンドは大きな利益を上げるかもしれない。

 だが一部の市場関係者からは「タイミングが遅すぎる」(為替ディーラー)との声も上がっている。円安はすでに既定路線であり、外債ファンドの創設はむしろ資金の国外流出のきっかけになってしまうのではないかという懸念が出ているのだ。

 安倍政権では大型の予算編成を計画しており、国債の増発は不可避の状況である。現在は国内に余剰資金が大量にダブついているので、ほとんどの資金が国債の消化に回っている。世界でも突出した水準の財政赤字にも関わらず国債価格が奇跡的に維持されているのは、行き場のない資金が国内に滞留しているからである。
 だが円安になり外貨投資が有利になると、眠っていた資金が国外に向けて動き出す可能性がある。そうなると国債を消化することができず、大幅な金利上昇をもたらしてしまう。一旦このループに入ってしまうと、際限のない円安とインフレが続くことになり、国民生活に大きな影響を与えることになる。

 際限のない円安とインフレを起こさないためには、為替政策が実質GDPの成長に確実に結びつかなければならない。そのためには、具体的な成長戦略の策定が必須の条件となる。だが現在のところ、大規模な財政出動以外に具体的な成長戦略は打ち出されていない。安倍政権の経済政策の成否は、最終的には成長戦略の中身にかかっているのだ。

 - 政治, 経済

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