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中国の外交文書が尖閣は日本領土と記載。だが本質はそんなところにあるのではない

 

 中国が領有権を主張している尖閣諸島について、領有権を主張する中国側の根拠が揺らぐ外交文書が発見された。時事通信が報じている。

 問題の文書は、中国が1950年に作成したもので、中国側の呼び名である釣魚島の名称を使わず、「尖閣諸島」と日本名を明記し、尖閣が沖縄に含まれるとの認識を示す文言が含まれていた。中国側は、尖閣諸島を古来からの中国領土と主張しているが、外交文書の内容はその主張と矛盾することになる。

 中国外交部(外務省)が27日に行った定例記者会見では、同公文書の問題について質問が出た。華春瑩報道官は「報道の状況がよく分からない」と明言を避け、尖閣諸島については「中国の主権は歴史的にも法的にも十分な根拠がある」と述べた。 だが中国外交部のWebサイトには質問が出たこと自体も掲載されなかった。中国側にとって都合の悪い事態であることが伺える。

 日本では、この文書をもとに中国側を追求すべきとの声も上がっている。だがそれはあまり意味のないことである。尖閣諸島が日本の領土であることは、中国側は百も承知なのだ。そうであればこそ、これまで中国は、尖閣諸島の日本による実効支配を事実上認めてきたのである。
 だが中国が尖閣諸島に対して歴史的に中国の領土であると主張してきたということは、その方針を撤回したことを意味している。日本の領土であると分かっている地域に対して、あえて領有権を主張しているのであり、中国側は最初から引き下がるつもりはないのである。

 中国が方針を180度転換した背景には、中国だけでなく米国の地政学的な戦略の方針転換がある。日米同盟はとっくの昔に弱体化しており、米国は東シナ海と南シナ海の制海権(日本の安全も含めて)について、以前のように絶対的に死守するつもりはなくなっている(少なくとも中国側はそう判断している)。中国は少なくとも東シナ海と南シナ海においては覇権主義に転じたのであり、それに対抗するためには同レベルの覇権を確立する以外に方法はないのだ。

 覇権(ヘゲモニー)に根本的に担保するのは経済力である。現代の戦争はすべて経済力に依存しており、軍事面での覇権を決めるのもすべて経済力である。
 日本は痛みを伴う改革を拒否し、現状維持を最優先している。対して中国は、多くの犠牲を払って構造改革を繰り返し、とうとう日本のGDPを追い越した(覇権は現実問題であり、中国が独裁国家だから多くの犠牲を無視できたというのは言い訳にならない)。
 パナソニックやソニーは経営危機がささやかれ、シャープに至ってはその生死を「鴻海」という中国企業(同社は台湾から中国に進出して現地化した)に握られている有様だ。中国側にナメられて当然である。すでに日本は中国に対して戦争に負けている状態なのだ。この事実を理解せずに、尖閣諸島問題の解決などありえないのである。

 - 政治

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