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米レンタカー大手がカーシェア企業を買収。自動車社会は地殻変動を起こしつつある

 

 米国のレンタカー大手エイビス・バジェット・グループは2日、カーシェアリング大手のジップカーを買収すると発表した。買収価格は12.25ドルで、ジップカーの株価に49%のプレミアをつけている。金額の増額は5億ドル(約425億円)になる見込み。レンタカー最大手のハーツ・グローバル・ホールディングスもすでにカーシェアリング市場に参入しており、この分野の成長余地が大きいことが伺える。

 ジップカーは米国のカーシェアリング市場で約75%のシェアを持つ最大手。現在76万人の会員を抱え、米国や欧州の20都市で事業を展開している。
 米国では都市部の若い世代を中心にカーシェアの市場が急拡大している。ガソリン価格の高騰や環境意識の高まりがその背景にあるといわれているが、もっとも大きいのは人々のライフスタイルの変化だ。

 ネットの普及により、個人の情報収集環境は格段に向上した。
 この結果、従来にはないキメ細かい情報を提供するサービスが相次いで登場してきており、それにともなって人々のライフスタイルも大きく変化してきている。社会におけるリソース配分が最適化される結果、高いコストを払ってモノを所有することの不経済性が顕著になってきているのである。カーシェアリングも自動車の貸し出しというサービス形態を取っているが、一種の情報産業なのだ。

 今回買収されたジップカーは2人の女性によって創業されたベンチャー企業。利用方法はいたってシンプルだ。会員になると専用のICカードが届き、それを利用してWebから使いたい車種や場所を選んで予約を行う。当日は車の保管 場所に行って、窓ガラスに張り付けられた装置にカードをかざすとドアロックが解除される。各車両からは利用時間などのデータが無線で本部に送られる仕組みだ。
 30分から利用することが可能で、利用料金は小型車なら1時間10ドル以下と格安だ。大都市圏では1ブロックに1台ずつ保管スペースがあり、利便性も高い。高いコストのかかる自動車を保有するよりも、圧倒的に低コストで効率がよい。

 マクロ経済的に考えると、こうしたシェアリング・サービスが普及すると、社会の資源利用効率が劇的に向上する可能性がある。これまでムダな資源利用によって潤っていた業界が打撃を受け、一方でその資源が別のとろこに振り分けられることで、まったく新しい産業が登場する可能性もある。
 いつものことだが、日本はこういった社会の変化に対して抵抗を示す傾向が強い。米国や欧州におけるカーシェアリングの拡大は自動車産業のあり方を根本的に変える可能性を秘めている。社会のIT化もそうだったが、日本は画期的な技術を自ら開発しながら、社会が変化を拒み、結果として米国が作った枠組みにすべてを支配されるという結果に陥っている。
 自動車産業も確実に地殻変動を起こし始めている。ふたたび変化を拒み、結果として次世代の自動車産業の枠組みも欧米から押し付けられるという事態だけは避けてもらいたいものだ。

 - 社会, 経済, IT・科学

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