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福島の除染作業で不正が発覚。だが本当の問題は別に存在している

 

 東京電力福島第1原発事故に伴う、被災地域の除染事業において不正が行われていることが明らかになり、環境省が実態調査に乗り出すことになった。

 不正が行われていたのは、福島県田村市、楢葉町、飯舘村など3市町村の除染現場。環境省が定めた除染ガイドラインを守らず、除染で発生した落ち葉などを川などに投機していたという。環境省は来週中にも元請けゼネコンの現場責任者を呼び、事実関係を確認するという。

 確かに国から業務を受注し税金を受け取りながら、ガイドラインに従わずに作業したことが事実であれば、受注者は相応のペナルティを受ける必要があるだろう。だが除染問題の本質はもっと別なところにある。それは、国が実施している除染作業自体が、そもそも科学的に根拠の無いものである可能性が高いという事実である。

 原子力工学の世界では実は「除染という概念は存在しない」(原子力エンジニア)のである。それはどういうことかというと、放射性物質は半減期が過ぎるまで放射線を出し続けるものであり、毒物のように解毒することができないからである。

 仮に屋根や道路を水で洗ったとしても、洗った水に移動した放射性物質は、有害な放射線を出し続ける。すべての水を半永久的に保管隔離することは現実的には不可能であり、いつかは環境中に戻されてしまう。また洗浄や落ち葉の回収だけでは、環境中の放射性物質をすべて取り除くことは不可能である。つまり除染を行っても根本的な解決にはならないのである。

 もちろん家や道路という人口密集地帯に放射物質が大量に残留するよりも、水に流して管理した方がマシであるという考え方には一理ある。だが政府が説明する除染は「放射能の有害性を完全に除去してくれるもの」という誤解を国民に与えかねない内容であり、すべての国民が「除染」の本当の意味を知っているのかは非常に疑わしい。

 そもそも除染事業にあまり効果がないことは関係者に広く知られており、皮肉にもそれが不正の横行を招いている可能性が高いのだ。政権交代によって原発政策も大きく変更されようとしている。「除染」が本当に有効なのか、もう一度冷静な議論が必要である。

 - 政治, 社会

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