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安倍首相の早期訪米を米側が拒否。この流れは今に始まったことではない

 

 早期の訪米で日米安保体制の強化を図り、中国に対する牽制球にするという安倍首相の外交政策が早くも頓挫しつつある。

 外務省は米国側と1月中の訪米を軸に調整していたが、岸田文雄外相は6日、首相訪米について「大統領就任式の準備などで外交日程が組めない」と語り、1月中は困難との認識を示した。首脳会談での具体的な成果を望んでいる米国側が難色を示していることが原因と見られる。
 オバマ大統領が安倍首相の就任に際して送った祝電には、何と野田元首相に対する慰労の言葉が添えられていたという。これは安倍首相に対してよほど大きなお土産がないと面会しないという米側の強い意志の表れと理解されている。
 1月末に通常国会が始まると首相が予算審議に縛られる可能性があり、訪米がさら に遅れる可能性も指摘されている。

 民主党政権成立以降、日本の首相が訪米を打診したものの、米側から拒否されるという事態はめずらしいことではなくなった。鳩山首相や菅首相も訪米を打診したが米側から拒否された経験がある。一般には日米安保に否定的な民主党政権のスタンスが、米側を警戒させたといわれているが、実態は異なる。

 米国はオバマ政権成立以前から、日本を含む海外同盟国との関係に縛られず独自に安全保障政策を実行するための体制に向け舵を切り始めている。この動きは超党派なものであり、米軍のハイテク化や沖縄からの海兵隊撤退などは、すべてこの壮大な計画の一部に過ぎない。 
 このプランにおいてアジア地域で中核的な存在となるのは中国であり、日本は中国に対する外交上のコマという位置づけにしか過ぎない。しかもワシントンにおいてこれらのプランを練る中核世代は30代から40代の若手であり、彼等にとって太平洋戦争をきっかけとした日米安保体制は過去の遺物でしかないのだ(本誌記事「オバマ次期政権で米国はまったく新しいリベラル国家に。日米安保は終わりの始まりか?」参照)。

 日本のマスコミではアーミテージ元国務副長官など、冷戦時代を代表する古い世代の対日関係者の発言ばかりが取り上げられるため、日米安保体制は不変とのイメージが出来上がっているが、現実は想像以上のスピードで変化している(本誌記事「アーミテージ氏とナイ氏が必死に営業活動。だが中国ではケンモホロロの対応」参照)。
 ワシントンでは、無邪気に日米安保強化を標榜し、中国との牽制球にしようとする安倍首相に対して冷ややかな視線が注がれていたが、それが早くも現実のものになった格好だ。

 米国は訪米を引き伸ばした挙句、具体的な成果としてTPPへの無条件参加を打診してくる可能性が高い。しかも米国においてTPP問題は特定業界団体の利権ネタに過ぎず、外交上の重要な論点にはなっていない。日本がこれを受け入れたところで、米国に対する外交政策上の貸しにはならないと考えるべきだ。

 残念なことだが、今後の日米関係は、米中関係の副産物にしか過ぎないというのが現実なのだ。バブル崩壊後、改革を頑なに拒絶し、経済水準を大幅に低下させてしまった国の宿命なのである。

 - 政治

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