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JPモルガンの佐々木氏がとうとう見通しを変更。今回の円安転換はホンモノかもしれない。

 

 為替市場において円安がさらに加速しそうな勢いだ。安倍首相による日銀に対する緩和圧力の高まりから、総選挙をきっかけに円が急落。新年に入ると早くも88円台に突入した。これほどまでに急激な円安はリーマンショック以降では2009年初頭に90円から100円に下落して以来の出来事である。

 市場では1ドル90円前後までさらに円安が進むとの見方が主流だ。また多くの市場関係者は相場のブレで一時的に円高に振れることはあっても、1ドル70円台の水準にはもう二度と戻ることはないと考えている。それは日本経済の構造が本質的に変化したからである。

 今回の円安は、安倍政権による日銀への緩和圧力がきっかけになったことは間違いない。だが円安の本当の主役は米国である。米国は順調に景気が回復してきており、連邦準備理事会(FRB)ではすでに、景気回復後を見据えて、緩和策の出口戦略に関する具体的な議論が始まっているのだ。
 FRBが3日に発表した12月分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、複数のメンバーが量的緩和政策の継続に否定的な見解を示している。実際の数値はともかくとして、日銀とFRBの間での政策スタンスが際立つ格好となっており、市場ではドル買いを誘発しやすい状況にある。

 さらに大きいのが日本の貿易赤字である。日本の貿易収支は震災以降赤字が定常化している。原発停止による原油輸入の拡大がその原因とされているが、本当の理由は輸出産業の競争力低下に伴う輸出不振であり、構造的な問題なのだ。
 日本は毎月数千億円の貿易赤字をタレ流している状況であり、そのたびに、大量の円が為替市場で売られることになる。日本は配当や利子による不労所得が貿易赤字と同額分あるため経常収支がすぐに赤字になることはないが、為替市場に対する影響は極めて大きい。

  為替市場の世界では、これまで強硬な円高論者であったJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏が相場の見通しをとうとう円安に変更し、ちょっとした話題になっている。投資銀行のアナリストやストラテジスト達は必ずしも純粋に市場を予測しているわけではない。常に自社のトレーディングや商品の販売動向を考えながら発言している。そいうった状況を考慮に入れると、最も強気だったアナリストが円安予測に転じたということは、今回の円安転換はホンモノである可能性が高いのだ。

 円安は輸出企業の業績を向上させ、日本株を上昇させる要因になる。だが今回の円安は日本の国力低下という事実が背後に存在している。下手をすると、円安→資金の海外流出→さらなる円安という事態を招きかねない。ここ数年、日本では「円高から日本を守れ」の大合唱だったが、5年後には「円高が良かった」などと言い出しかねない状況なのだ。
 円高を円安にすることは簡単だが、その逆はほぼ不可能に近い。5年後に円安誘導が間違いだったと気付いても、その時に取る手段はもう残されていない。

 - 政治, 経済

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