ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

財務省が物価連動債の発行再開へ。いよいよインフレ時代がやってくる。

 

 財務省が、物価に応じて元本が増減する物価連動国債の発行を再開する。物価連動国債は消費者物価指数(CPI)に応じて元本が増減する種類の国債。消費者物価の上昇にあわせて元本が増えれば、投資家が受け取る利子の額も増えるので、資産価値の目減りを防ぐことができる。

 財務省は2004年に一度物価連動債の発行を始めている。だがデフレが長期化し、元本割れを起こす可能性が高くなってきたことから発行中止に追い込まれたという経緯がある。安倍政権のデフレ脱却政策によって物価上昇期待が高まっていることから、今回、再発行に踏み切った。主に海外の投資家の購入を見込んでいる。

 財務省にとって目下最大の懸念材料は国債消化が生き詰まること。せっかく消費税の増税に目処をつけても、国債価格の下落によって金融市場が混乱する事態となれば、すべてが水の泡となってしまう。安倍政権のインフレ政策は国債価格の下落を誘発するリスクがあるため、何としても国債の消化を確実にする必要がある。

 日本の国債はほとんどが日本人投資家によって買われているとイメージが強いが実態は少々異なる。財務省はかなり以前から海外投資家に対する国債の売り出しを積極的に行っており、現在では、短期債の約3割が外国人投資家によって購入されている。ただ、外国人投資家の動きは早く、日本のインフレが過度に進行すると判断されれば、一斉に市場で売りに出してくる可能性がある。インフレ・リスクをヘッジできる物価連動債はこの動きを軽減する効果があるだろう。

  だがウラを返せば、物価連動債の発行は、そうでもしないともはや国債を買ってくれる人はいないという意味にも解釈できる。国債全体に占める割合が小さい間は、投資家の選択肢を広げるというプラスの面が大きいが、発行額の多くを物価連動債が占めるようになってくると、国債消化に黄色信号が点灯しはじめたことの証左になってしまう。

 もちろん現段階では、国債消化を懸念する状況には至っていない。だが、物価連動債の発行再開は、日本の国債管理政策が新たな局面に突入したことを示している。

 - 政治, 経済

  関連記事

tokyowan
GDPギャップは依然マイナスのまま。供給過剰な状態は本当に一時的なものなのか?

 内閣府は8月22日、4~6月期におけるGDPギャップがマイナス1.9%になった …

scotlandmap02
スコットランドの独立問題。果たして本当に国家分裂の危機だったのか?

 英国北部スコットランド独立の賛否を問う住民投票は、賛成が45%、反対が55%( …

bukkajoushou
梅雨明けを迎え、金融政策も夏休みモード。重大な決断は秋以降にやって来る

 総務省は2014年7月25日、6月の消費者物価指数を発表した。代表的な指数であ …

seifuzeichou
政府税調がスタート。だが重要な権限はすべて党税調に握られている

 安倍政権発足後としては初めてとなる、政府税制調査会(政府税調)の第1回目の会合 …

gaikokujinrodosha
これは事実上の移民政策?オリンピック以後も外国人労働者を継続して受け入れへ

 安倍政権が外国人労働者の受け入れ拡大に向けて本格的に動き始めた。安倍首相は20 …

no image
IMFが指摘。日本の金融機関はもうこれ以上、国債を買い支えることはできない

 IMF(国際通貨基金)がいよいよ日本の国債消化能力ついて懸念を表明し始めた。 …

yasukuni
靖国参拝に米国が異例の声明。国務省は議会やホワイトハウスをもはや説得できない?

 安倍首相は政権発足から1年となる2013年12月26日、靖国神社に参拝した。首 …

jinkousuikei
50年後の人口は何と8800万人に。政府が掲げる1億人維持など到底不可能

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は2017年4月10日、「将来推計人口 …

carter
米次期国防長官は、実務官僚で経験豊富なカーター氏に落ち着く?

 辞任が決まっているヘーゲル米国防長官の後任に、前国防副長官のアシュトン・カータ …

nichukanfta
日中韓FTA交渉の第2回会合。すでにTPPに参加した日本は有利な立場に

 日中韓の3カ国で貿易や投資の自由化を目指す、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の …