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米国でインフルエンザ大流行。米マスコミの感染予防報道には学ぶべき点が多い

 

 米国でインフルエンザが大流行している。全米の30近くの州で例年をはるかに上回る数の患者が発生している。流行はまだ初期段階であり、今後も患者数は増える見込み。日本においても、患者数が増加の兆しをみせており、本格的な流行に入る可能性が出てきている。

 毎年冬になると話題になるインフルエンザだが、日本と米国ではマスメディアでの報道姿勢に雲泥の違いがある。
 日本ではよくうがいをして、睡眠をたっぷり取るといった抽象的な予防策しか情報提供されない。だが米国のインフルエンザに関する報道は、予防策についての解説なかなり具体的である。

 ABCのニュース番組では、エレベータのボタン、ATMのパネル、レストランの塩コショウ容器、地下鉄の吊革など、不特定多数の人が触れる部分からの接触感染がもっとも危険であると解説している。これらの部分にはなるだけ触れず、どうしても触れる場合には指先を避けるようにと指示も具体的だ。さらに会議中や仕事中に、手で口や目を触る回数を検証し、この行為を避けるよう注意するだけで、かなりの感染を防げることも示されていた。

 諸外国では新型インフルエンザの流行をきっかけに、感染ルートの特定とそれにもとづく感染防止策の徹底が行われてきた。だが日本ではパンでミック対策が十分に整えられているとはいえず、科学的な事実にもとづく情報も不足している。

 現実問題として、インフルエンザや風邪のほとんどは、手を介した接触で感染している。いくら手を洗ってうがいをしても、その手でエレベータのボタンに触ってそのままにしていては何の意味もないのだ。
 だが日本ではこのような科学的な情報が共有されていないため、社会全体で感染拡大を軽減する対策が取られにくい。日本ではマスクの装着が一般的になってきているが、これも個人が感染を予防するためだけのものと誤解している人が多い。マスクには多少の予防効果もあるが、もっとも期待されているのは、感染した人が周囲に感染を広めない効果の方である。したがって、感染した人、あるいは感染する可能性が高い人がマスクをしていないと、社会的には意味がないのだ。
 こういった違いは普段はあまり認識されないが、いざ災害が発生した時には、大きな違いとなって返ってくる。

 あるオフィスビルでは、電力不足による節電を行っており、ビルの利用者に廊下やトイレの電気をマメに消すように通達が出ていた。ビルの利用者の一人が不特定多数の人がスイッチに触れるようなやり方は、感染症対策から好ましくないのでは?と提言したところ、非国民扱いされたという由々しき事態も生じている。

 リスクとは総合的なものであり、どれかひとつを精神論で実現するものではない。風邪予防ひとつとっても、その国の国民性、ひいては政府の危機管理能力を映す鏡になる。日本が諸外国から学ぶべきことはまだまだ多そうである。

 - 社会

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