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中国で新聞検閲に反対するデモが発生。権力闘争も絡み、習近平体制は早くも岐路に

 

 中国の新聞記事が当局の介入で差し替えられたことに反発するデモが、広州市内で7日発生した。デモ参加者は広東省の宣伝活動責任者の辞任を求めている。格差の縮小や社会正義を至上命題とする習近平政権にとって、最初の試金石となる可能性が高まってきた。

 記事が差し替えられたのは広東省を地盤とする「南方週末」紙。中国はもっともリベラルな新聞の1つとされており、これまで検閲ギリギリの批判記事を多く掲載して話題となっていた。当局の介入で記事が差し替えられたことに現場の記者が反発。差し替え前の原稿がネットに流され、多くの人が閲覧する結果となった。
 今回の差し替えは当局の直接介入ではなく、経営幹部による自主規制だったという話もあるが、世論は完全に当局の検閲に対する反発で一色になっている。

  デモについては警察当局が容認したことから平穏に行われたが、この背景には広東省の党書記に着任したばかりの胡春華氏の意向が強く反映しているとみられる。
 同氏は胡錦濤前共産党総書記直系の人物であり、習近平氏が属する太子党(共産党幹部の2世3世グループ)や江沢民グループとは敵対関係にある。太子党や江沢民グループには保守的な人物が多く、メディア規制などに対しても積極的といわれる。胡春華氏はデモに対して容認姿勢をとることで、改革派としてのイメージを国民に植え付け、習近平体制に対する牽制球にしたい意向だ。

 今回の事件はかつての天安門事件のように、中国共産党最高指導部に対する「踏み絵」になる可能性がある。天安門事件の時には、弾圧か容認かで内部は分裂し、結局、党の最高実力者であった鄧小平氏の決断によって徹底的に弾圧する道が選択された。この時には、趙紫陽総書記をはじめ容認を主張した多くの幹部が粛清された。

 習近平体制は、江沢民グループと胡錦濤グループの対立を内包した不安定な政権であり、いつ権力闘争が勃発するか分からない状況となっている。弾圧を強硬すれば、改革派の反発を招く可能性があり、一方でこれらのデモを容認してしまうと、各地でデモが雪崩のように発生し、当局が制御できなくなる危険性もある。
 習近平氏は就任早々、重大な決断を迫られている。

 - 政治

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