ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

銃規制の議論が高まる米国で、銃所有者の住所氏名を検索できるサイトが登場

 

 米コネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件をきかっけに、米国は銃規制をめぐる議論が活発になっているが、驚くべきWebサイトが登場した。

 ニューヨークにある「ジャーナル・ニュース」紙は同社のWebサイトにおいて、合法的銃所持者の名前と住所をグーグルマップに連動する形で公開した(写真)。
 銃規制賛成派からは支持する声が上がる一方で、銃規制反対派からは「やりすぎ」「盗難の危険性がある」などの異論が続出している。また同紙には脅迫電話や脅迫メールなどが寄せられているという。
 銃の所有が禁止されている日本では、銃規制そのものの議論はいわば他人事といってよい。だが同紙による銃所有者の住所氏名公表とそれをめぐる一連の議論には、我々日本人が学ぶべき点が多い。

 同社の姿勢の是非はともかくとして、同社が公表した銃所有者の情報はすべて合法的に入手されている点は注目に値する。ニューヨーク州の州法では、銃のライセンスの所有者情報については公情報として認定されており、情報公開の対象となっている。同社は正面からこのデータを入手している。
 これを日本にあてはめてみたらどうなるだろうか?日本にも形だけ情報公開法というものがあるが、事実上機能していない。役所の許認可や処分に関する公の情報でありながら、ほとんどが黒塗りで提出されるというのが実態なのだ。そこには「プライバシーの保護」という大義名分があるらしい。

 プライバシーという概念がそもそも欧米のものであり、その保護にかけては米国は日本よりもずっと進んでいる。だがプライバシー先進国の米国において、銃の所有者の住所氏名は公開対象なのである。プライバシーの保護において最も大事なことは、「公共の利益を損ねない限り」プライバシーは保護される原理原則である。
 公共の利益という概念があってはじめてプライバシーは成立する。公共の利益という概念のないプライバシーなど、官僚や政治家にとって都合の悪いことを隠すための道具にしかならないことは火を見るより明らかだ。政治家と官僚のプライバシーがもっとも保護されているのは、ロシアと中国であることを忘れてはならない。

 銃規制の賛成派も反対派も、試行錯誤を繰り返し、徹底的に議論を戦わしている。銃乱射事件が米国の負の側面ならば、こういった徹底的な議論と実践は米国の社会のプラス面を示す好例といえよう。

 - マスコミ, 政治, 社会

  関連記事

sanpeter
中国がバチカンに台湾との断交をあらためて要求。なぜ両者は対立しているのか?

 ローマ法王庁(バチカン)と断交状態にある中国政府は、新しくローマ法王に就任した …

fcatokai
米国からのプルトニウム返還要請は何を意味しているのか?

 日本政府が、米国から研究用として提供されていた高濃度プルトニウムを、米国に返還 …

zangyou
長時間労働の人ほど上司がそれを評価してくれていると考えている?

 長時間労働をする人ほど、残業について上司が評価してくれていると考える割合いが高 …

kaiho
ODAを使った新造巡視船のベトナム供与。場合によっては本末転倒にも

 政府は、中国と領有権争いをしているベトナムに対して、ODA(政府開発援助)を使 …

merukeruputin
プーチン大統領の独裁に抗議してトップレス女が乱入。メルケルは驚いたが本人は余裕

 ドイツを訪問中のプーチン露大統領の前にトップレスの女性が現れ、プーチン大統領の …

abetoben
安倍政権が解雇規制緩和を断念。これでアベノミクスは名実ともにケインズ政策となった

 安倍政権は、成長戦略の目玉と位置付けていた雇用規制緩和の導入を事実上断念した。 …

no image
米国のネット通販に韓国からのアクセス制限がかかるワケ

 年末商戦真っ最中の米国において、韓国からのインターネット・アクセスが制限され、 …

zenjindai2015
中国政府が2015年の軍事費を発表。GDP比でいくとまだまだ軍拡の余地がある

 中国政府は、2015年3月5日から行われている全人代(全国人民代表大会)におい …

hasimoto2
橋下氏が自民憲法草案に懸念表明。今こそ議論すべき「法の支配」と「法による支配」の違い

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は5月12日、自民党の憲法改正草案について …

saitamaken
埼玉県がいじめ情報収集サイトを開設。完全に問題をすり替えた愚策。

 埼玉県教育局は、学校でのいじめを見聞きした児童生徒がその情報を提供するための携 …