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韓国から核燃料の再処理を受託との報道。原子力は核の問題であるという理解が必要

 

 日本政府が、使用済み核燃料の再処理を韓国から受託することを検討しているという東京新聞の報道が波紋を呼んでいる。

 東京新聞の報道によると、政府内部において韓国など東アジアの原発から出る使用済み核燃料を青森県六ケ所村の再処理施設で再処理することで延命を図る構想が浮上しているという。ただ記事には明確な根拠はなく、核燃料サイクル事業の継続に意欲を示す大臣発言などが根拠になっており、政府の統一見解であるかどうかは不明だ。

 これに対して韓国政府当局者は7日、「日本政府から、韓国の使用済み核燃料を委託処理したいという提案を受けたことはなく、韓国政府は、こうしたことを検討していない」と述べている。

 現在、日本ではほとんど原発が停止していることや、六ヶ所村にある再処理施設においてトラブルが続出していることから、使用済み燃料の再処理は予定通りに進んでいない。このままでは、利用されないプルトニウムが大量に国内に残留することになる。
 政府内部でどこまでコンセンサスが得られているかはともかくとして、経済産業省をはじめ原子力に関連する府省が、核燃料サイクルの延命を何とか実現し、関連予算を確保しようと画策することは容易に想像できる。他国からの処理の受け入れはその方策の一つになり得るだろう。
 だが核燃料サイクルの問題は、米国の核不拡散政策と直結する問題であり、きわめてデリケートな扱いを要する。一歩間違えば、安全保障上の重大問題にもなりかねない危険性を秘めていることを忘れてはならない。

 日本人の多くは原発政策について、単に安全性の問題や電力需要の問題として捉えているが、国際社会はそのように理解しない。原子力政策は、核政策そのものであり、軍事問題なのである。原発依存度を減らすにも関わらず、再処理事業を継続するということは、核武装に関して高い関心を持っているというサインを諸外国に送ってしまうことになる。

 今回の政府内部の検討が事実であり、核保有を意識したものであるならば、これは国民全体で議論すべき重大なテーマなはずである。一方その意識はなく、予算確保のための無邪気な言動であるならば、それはそれで非常に危険なことである。
 原発政策は核政策とイコールであるという考え方に基づいた幅広い議論が求められる。

 - マスコミ, 政治, 社会

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