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11年ぶりに防衛費が増額。だが気になるのは自衛隊の人件費比率の増加

 

 政府・自民党は2013年度予算の防衛費について、11年ぶりに増額する方針を固めた。増額は1000億円程度となる見込みで、新型レーダーなど装備の拡充に使われる。
 防衛費は政府の財政難を受けて2003年度から減額が続いており、2012年度は4兆6000億円程度にまで減少していた(2003年度には5兆円近くあった)。尖閣諸島問題や北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射という事態をうけて防衛体制を強化する。

 単年度の予算に加えて、中長期の国防戦略についても見直しを行う。民主党政権が2010年に閣議決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)を凍結し、あらたな計画を策定する方針だ。

 防衛省では、このまま減額が続けば航空機や艦艇など必要な装備の調達に支障が生じかねないと懸念しており、ひとまずは歯止めがかけられた状況となった。

 だが、ことはそう単純ではない。防衛費の増額が必ずしも防衛力の強化につながるとは限らないからである。
 10年近くにおよぶ防衛費の削減によって、自衛隊の人件費率は増加しており、2012年度の防衛費においては約4割が自衛隊員の給与や食糧費に充てられている。このことは予算の減額に対して、人員の削減ではなく、装備の削減で対応してきたことを意味している。
 IT技術の進歩によって軍隊のハイテク化は想像を超えるスピードで進んでいる。本来であれば人件費の比率は減少していかなければならない。軍隊は戦争のプロであり、戦争に勝てなければ意味がない。新しい時代に合ったスキルを持たない隊員を抱えることは、国民を危険にさらしかねないのだ。
 2012年度の予算増額分は装備に充てられる予定だが、中長期のレベルでは陸海空で1万8000人の自衛官増員が必要との声も上がっている。国防意識の高まりを利用して、雇用を維持しようという意図も見え隠れする。

 今後の防衛費増額が、単なる組織の肥大化につながるようでは、防衛力の向上につながらないばかりか、予算のムダ使いに終わる可能性もある。防衛力の整備は金額も重要だが、もっと大事なのはその質的な能力向上である。

 - 政治

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