ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

桜宮高校バスケ部の自殺問題はルール不在という日本社会の不透明性を象徴している

 

 大阪市立桜宮高校バスケットボールの男子生徒が自殺した問題で、学校側が自殺の4日後に体罰の実態を尋ねるアンケートを実施し、ほとんど生徒が体罰の存在を見たと回答していたにもかかわらず、これを放置していたことがわかった。

 桜宮高校バスケットボール部では、「教師による体罰がある」という情報が以前から寄せられていたが、学校は教師からの聞き取りだけで体罰はないと判断していたという。だが生徒の自殺後に実施したアンケートでは50人中48人が、体罰を見たと回答しており、体罰は日常的であったことを伺わせる。
 また自殺の前日、同校のバスケットボール部の担当教員2名が、生徒が顧問から体罰を受けるのを見ながら黙認していたことも分かっている。

 体罰やいじめの問題が発覚するたびに、学校側は「知らなかった」のオンパレードとなるわけだが、現場の教師がそれを知らないということは、現実はありえないことである。それにも関わらず、何度も同じことが発生するのは、教師が「体罰やいじめは存在して当然」と思っているか「同僚のそうした不正行為を指摘することはもっと悪いこと」と考えているのかのどちらかである(あるいはその両方かもしれない)。

 事実、同高校の佐藤芳弘校長は「行き過ぎた体罰があったのだろうと思う」とテレビのインタビューに答えている(写真)。つまり今回の体罰は「行き過ぎた」のであって、体罰そのものは肯定しているようである。
 だが体罰があるという指摘を受けて教師から聞き取り調査をしたということは、それがよくないことだという認識もあったと思われる。
 おそらくは、本音では「体罰くらい大した問題ではない」と思っているが、世論がうるさいので、渋々調査したというところだろうか?

 これは「ルール不在」という日本社会の不透明性をよく表している。体罰は許容されているのか?それとも禁止なのか?もし許容されているというなら、正々堂々と体罰を実施すればよいことで、何も隠したり遠慮する必要はない。体罰は学校教育法で禁止されている行為なのだが、学校として信念を持っていて、法律に違反することの意味も理解した上でのことなら堂々とやればよい。逆に、学校として禁止しているのであれば、理由の如何を問わずそれは禁止であり、行き過ぎもへったくれもないはずだ。
 体罰そのものの是非に関する議論はもちろん大事だが、その前にルールとして体罰は禁止しているのか、いないのかをはっきりさせるべきである。もし禁止ならそれを破った人間に対しては、理由を問わず厳しい処分が下されなければならない。それがルール社会というものである。

 教育委員会は一般の行政組織から独立した権限を持っており、誰からの監督も受けない。なぜそうなっているのかは、太平洋戦争の敗北と大きく関係している。軍国主義的な教育の再発を危惧した米国が、自治体首長からの干渉を受けずに民主教育を行うため、特殊な状況を考慮して作らせた制度なのである。ところが今では、教師の責任回避のための道具に成り下がっている。マッカーサーもまさかここまで教師に自律能力がないとは考えてもいなかったのだろう。

 大阪市の橋下市長は、教育委員会を介さず、市長が直接介入できる方策を検討しているという。自らルールを策定し、それを自立的に守ることができないのであれば、その組織は解体するしかない。
 本来、行政組織として、選挙で選ばれたリーダーの指示を受けないことなどあってはならないことなのである。

 - 政治, 社会

  関連記事

trump201611b
トランプ政権における安全保障面での一部人事案が明らかに。対テロ強硬派が揃う

 トランプ政権の安全保障分野の陣容が徐々に見えてきた。トランプ氏はオバマ大統領を …

shukinpei07
中国政府がとうとう戸籍問題の改革に着手。中国の統治は大きな岐路に

 中国が長年の懸案事項であった戸籍改革に乗り出す。中国政府は2014年7月30日 …

merisa
米Yahooが社員に在宅勤務禁止を通達。自由といわれる米IT企業の本当の姿とは?

 米Yahooのマリッサ・メイヤーCEOが、社員に在宅勤務を禁止する通達を送った …

nodae02
ここまでプライドを捨てられればご立派!。野田首相が選挙に自信がなく比例重複立候補

 民主党代表の野田佳彦首相は12月の総選挙において、比例代表に重複立候補する意向 …

dental
米国の歯科医院でAIDS感染が発覚。日本の衛生基準はどうなのか?

 米国オクラホマ州で、不衛生な状態で運営されていた歯科クリニックの患者が、C型肝 …

tenanmon
中国のジニ係数は依然として高水準。政府統計と実態の乖離も継続中

 中国の所得格差が依然として高い水準にあることが、北京大学やミシガン大学を中心と …

obama1112
アジア人はしたたか。オバマ大統領アジア歴訪のウラでイランとの積極外交が展開中

 再選が決まったオバマ大統領が早速動き始めた。アジア重視の姿勢を強調するオバマ大 …

tokyowan
GDPギャップは依然マイナスのまま。供給過剰な状態は本当に一時的なものなのか?

 内閣府は8月22日、4~6月期におけるGDPギャップがマイナス1.9%になった …

hanedanarita
羽田・成田の地下鉄建設に年金と生保資金を活用。本当に大丈夫なのか?

 国土交通省は2020年代の開業を目指している羽田・成田を結ぶ地下鉄路線の建設に …

setubitousi
政府与党内で減税論議が本格化。設備投資減税が中心だが場合によっては法人減税も

 9月になり、秋の臨時国会が視野に入り始めたことで、政府与党内における減税論議が …