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内閣府調査研究。大卒者、院卒者の4人に1人が学歴に見合う仕事をしていない?

 

 大学生や大学院生の4人に1人が教育過剰(同じ学歴を獲得したにもかかわらず,より低い学歴しか求められない仕事に就いている)の状態となっていることが、内閣府経済社会総合研究所の調査研究で明らかになった。大学への進学率が急上昇している中で、学歴と職業のミスマッチが発生し、社会的に大きなコスト負担が発生していることが浮き彫りになった格好だ。

 この調査研究では全国の17歳から27歳の若者約12000人を対象に、自身の学歴水準と実際に従事している仕事の水準の乖離についてアンケートを実施した。
 高卒者は教育水準と仕事内容が一致する人が65%だったのに対して、教育過剰になっている人は14.8%しかいなかった。これに対して4年生大学卒の人は、教育水準と仕事内容が一致する割合は高卒者と同レベルだったものの、教育過剰になっている人の割合は27%にも上った。同じく大学院卒も26.6%が教育過剰の状態になっていた。

 日本の大学進学率は年々上昇しており2009年には50%を突破した。現在では2人に1人は大学卒ということになる。だが企業の大卒採用枠は増えておらず、増加した大学生が、狭い大卒採用枠に殺到することになり、就職難に拍車をかけることになる。新卒者の就職難が続いているのは不景気の影響も大きいが、学歴のミスマッチがかなり影響していることがわかる。

 この結果はさまざまに解釈ができる。大学における教育がより個人により高い生産性をもたらすものであると仮定すれば、日本の企業は付加価値の高い収益構造にシフトできておらず、せっかくの労働力を持て余していることになる。大学教育には多額の税金が投入されていることを考えると、これは国家的な損失といえる。
 一方、大学が学生に対して十分な教育を実施しておらず、学生をただ大量生産しているだけなのであれば、むしろ改革すべきは大学側ということになる。学歴に見合う仕事をしていないと考えているのは本人だけなのかもしれない。

 ちなみにこの調査研究の主目的は、教育過剰者と教育過少者の賃金格差に関する分析である。その結果、教育過剰者は教育適当者に比べて賃金が低く、教育過少者の賃金は教育適当者よりも高いことが明らかになった。これは日本の若年労働市場が人的資本理論よりも仕事競争モデルに近い形態になっていることを示している。
 仕事競争モデルとは、簡単に説明すると、労働者が今現在持っている生産性でなく、将来発揮するであろう生産性を基準に採用が行われる仕組みのことである。将来発揮する生産性は予測ができないので、多くの場合代わりに学歴が用いられる。このため、学歴さえ高ければ、実際の能力に関係なく、いい条件の職場に就職できることになり、いわゆる学歴社会の弊害をもたらす可能性がある。

 研究結果を見ると、少なくとも日本企業のビジネスモデルや採用形態が硬直的で柔軟性に欠ける状態であることだけは確かなようである。現在、世界の産業構造は劇的に変化している。企業側の責任なのか学校側の責任なのかはともかくとして、旧来の製造業を前提とした学校教育モデルや採用モデルは確実に時代遅れになっている。この状態が総合的に解消されないと、学歴ミスマッチの問題は容易に改善しないであろう。

 - 社会, 経済

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