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緊急経済対策に盛り込まれたのはわずか1件。非正規雇用問題は完全に忘れ去られた

 

 11日に正式決定された緊急経済対策には、大規模な公共事業や成長戦略など、目を引く文言が並んでいる。だが民主党政権時には主要な政策課題であった非正規雇用の問題は、今回の経済対策ではほとんど触れられず、忘れ去られたテーマになっているかのようだ。

 総額20兆円を越す今回の緊急経済対策において、非正規労働者に対する支援プログラムは、「若年者人材育成・定着支援奨励金(仮称)」の創設の1件だけ。このプログラムは、事業者が非正規の若年労働者に対して職業訓練を行った場合や、訓練受講者が正規雇用として定着した場合に助成するというものだ。
 大規模な経済対策の実施によって、現在仕事がある人や、失業している人は何らかのメリットを享受できるが、長期間非正規雇用の状態に置かれた労働者にはほとんど恩恵がない。

 民主党政権時代には、年越し派遣村などが話題になり、非正規雇用対策は最重要課題の一つであった。現在の非正規雇用の割合は全体で約35%、男性は20%程度だが女性は50%を超える。
 労働者の非正規雇用の増加は日本だけの現象ではないが、日本は正規雇用と非正規雇用の格差が大きく、それが固定化しているという点で、他国より問題は深刻だ。

 競争社会の米国では、そもそも正規雇用、非正規雇用という概念自体が存在しない。大企業のマネージャークラスでも1年で解雇される人はザラに存在するし、工場労働者で勤続30年という人もいる。
 労働者の保護が手厚いといわれているフランスでも実態は米国に近い。フランスで日本の正規雇用に近い立場とされるCDI(期間の定めのない労働契約)を交わしている人は全体のわずか24%に過ぎない。残りは日本の非正規雇用に相当するCDD(期間の定めのある労働契約)である。多数の労働者が事実上の身雇用と高い給料が保証されるという状況は、グローバル化が進む経済メカニズムの中では維持できなくなっているのだ。

 日本でそれが可能となっているのは、問題を先送りしているだけのことであり、いずれこのシステムは破綻する。米国型の自由競争システムを導入し、ガラガラポンでゼロから労働者の再配置を行うのか、フランスのようにある程度コントロールした形ですべての労働者の条件を同一に近づけていくのか、どちらかの道を選択しなければならない。

 ちなみに、日本の貧困率は15%を越えており、フランスの2倍近くの水準だ。日本は韓国と並んでOECD加盟30カ国では貧困率でワーストに近い国になっているのが現実なのだ。日本に残された時間はあまり多くない。

 - 政治, 社会

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