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悪化する北京の大気汚染。本当に自動車の排気ガスが原因なのか?

 

 北京を中心に中国各地で大気汚染が悪化している。北京市内では、視界がほとんどきかない状態になっており、一部ではぜんそくなどの持病を持った人が死亡する事態となっている。

 北京における直径2.5マイクロメートル以下の超微粒子物質「PM2.5」の濃度は、多くの場所で700マイクログラムを突破、場所によっては1000を超えたところもある。国際基準では75マイクログラム以下であることを考えると、今回の大気汚染は尋常なレベルではない。

 北京でこれだけの大気汚染が発生したのは、急速に増加した自動車の排気ガスに気象条件が重なったことが原因とされている。北京市内では公用車の運転が制限されており、マイカーの利用をやめた人も出ているという。
 だが自動車の排気ガスが原因という話には疑問の声もある。

 中国の自動車台数は2010年末で約8000万台と日本とあまり変わらない。このうち北京市は約500万台であり、この数字も東京と大差がない。10億を超える人口を抱える中国の規模を考えると中国はまだまだ自動車社会ではないのだ。
 東京もかつては自動車による公害に悩まされたが、現在の自動車はかつてとは比べ物にならないくらい排気ガスが少ないため、東京では自動車による大気汚染はとうに過去の話である。これはニューヨークでもロンドンでもパリでも同じことだ。

 中国で使われている自動車の多くは、輸入車か外国の大手メーカの技術を導入されて開発されたものであり、先進国で使われている乗用車とそれほど大きな違いがあるわけではない。中国当局も排ガス規制の強化を進めている最中だ。

 もちろん日米欧よりも緩く設定されている排ガス規制によって自動車による大気汚染が進んでいることは事実だろう。だが、これほどの水準の大気汚染ということになる話は別だ。自動車以外にも別の大きな要因がありそうである。

 多くの関係者が指摘しているのは、石炭の利用による煤煙と工場の環境対策の遅れである。中国は世界最大の石炭産出国で世界の生産量の約半分を占めている。だが一方で石炭の最大の輸入国でもあり、中国における石炭の消費量は突出している。十分な環境対策を講じないで石炭を利用すると大量の煤煙が発生する。また化学物質を排出する工場も、生産拡大を優先するあまり、環境対策がおろそかになっている可能性は高い。

 北京の大気汚染の実に半分以上が風に乗って他の工業地域から流れ込んだものという説もある。またこのところ韓国のソウルでも北京からの汚染物質で視界が悪化する現象が確認されている。
 大気汚染は北京だけの問題ではなく、中国全土の工場における環境対策に根本的な原因がありそうだ。このまま環境汚染が進むと、韓国だけでなく日本の九州もその影響を受ける可能性もある。

 大気汚染に苦しむ北京の市民や汚染のリスクにさらされる九州の住民には気の毒だが、これは外交上の有利なカードともいえる。環境問題の存在は堂々と他国に内政干渉を実施できるチャンスなのだ。工場の環境対策技術は日本が突出しており、大きなビジネスチャンスになる。
 だが十分に注意しないと、逆にねじ伏せられてタダ同然で技術を提供する羽目に陥ってしまうリスクもある。多くの技術をタダ同然で奪われてしまった新幹線の二の舞だけは避けなければならない。

 - 政治, 社会, 経済

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