ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

中高年は若者のことを考えているのか?いないのか?

 

 日本の政策のほとんどは中高年向けのものに偏っている。その際たるものは年金受給額の格差と雇用環境だろう。この状態がよくないことは誰の目にも明らかだが、ここに手を付けることは、政治家にとっては致命傷となる。このため改革が実行される可能性は限りなくゼロに近いというのが現状だ。

 では実際に中高年は若年層の環境についてどのように考えているのだろうか?世代間問題研究プロジェクトは2012年12月、中高年2128人に対して優先すべき社会保障政策に関するアンケート調査を行った。

 それによると、もっとも割合が高かったのは、若者の雇用充実で30.4%となった。2番目は公的年金給付の改善(28.9%)。その後には出産子育て支援(11.7%)、医療制度改善(10.4%)、介護制度改善(6.3%)と続く。

 通常、このようなアンケートは複数回答を可とすることが多く、回答者の関心が発散してしまう可能性がある。このケースでいえば、複数回答ができると、年金の増額も望むが若者対策も望む、というパターンが増えてしまうのである。このプロジェクトでは択一回答とすることで、回答者の関心がどこにあるのかを絞る工夫を行ったとしている。

 回答を絞った結果、もっとも関心が高かったのは、自分の年金のことではなく、若者の雇用という結果になったというワケだ。このアンケート結果について解説している一橋大学特任教授の高山憲之氏は、高齢者は若者のことを優先して考えており、政策の優先順位変更について検討する価値があると主張している。

 若者対策にもっと力を入れるべきという高山教授の主張はまっとうなものだが、このアンケート結果の解釈には少々疑問が残る。アンケートに回答している中高年は、「公的年金の増額」といった高齢者対策と、「若者の雇用充実」という対策は、根本的にトレードオフの関係にあることを理解していない可能性がある。
 もし年金給付をはじめとする高齢者への手当てが、若者の雇用と引き換えに失われるのであれば、中高年層は問答無用で反対する可能性が高い。実際、両者はそのような関係になる可能性が高いのだ。

 アンケートは項目の設定などである程度、結果を誘導することは可能である。だが政治家は落選というリアルな恐怖を背負っている。中高年の本音が若者よりも自分達の利益であるならば、政治家が決断することは難しいだろう。やはり最後は国民が賢明な選択をするより他に道はないのだ。

 - 政治, 社会

  関連記事

no image
東国原前宮崎県知事、東京で出馬か?そして海江田万里はどうなる?

 維新の会が衆院選の目玉候補に予定している前宮崎県知事の東国原英夫氏だが、東京で …

boeing777
ボーイングが国内生産を維持する代わりに従業員の待遇を引き下げた背景

 米ボーイングは2014年1月4日、次世代の主力機である「ボーイング777X」の …

bankofhina
中国当局が国営放送を使って中国銀行の海外送金サービスを糾弾している背景

 中国の国営放送局である中国中央テレビ(CCTV)が、中国有数の銀行である中国銀 …

shougi
プロ棋士がコンピュータに負けた事件で浮き彫りになった日本人のメンタリティ

 将棋のプロ棋士とコンピューターソフトが争い、コンピュータが勝利したという出来事 …

abeaso
形骸化が進む成長戦略の議論。法人税減税はもはや無意味になりつつある

 成長戦略に関する議論の形骸化がさらに進みつつある。政府は2014年1月20日、 …

pakukune
朴槿恵政権の閣僚人事が難航。背景のひとつは徴兵逃れ疑惑

 韓国の朴槿恵(パククネ)新政権の組閣が難航している。韓国の国会は26日、元検事 …

oilrigtexas
米国がサウジを抜いて世界最大の産油国に。今後、地政学的なバランスは激変する

 石油メジャーの英BPは2015年6月10日、2014年のエネルギー統計を発表し …

obamaparitero
世界の警察官であることをやめるという米国の外交戦略はテロでどう変わのか?

 過激派組織「イスラム国(IS)」による大規模なテロが発生したことが、オバマ政権 …

shukinpei
中国に異変?新聞検閲問題が北京にも波及し、香港では行政長官弾劾の動き

 中国共産党による独裁体制を批判する動きが、国内でじわじわと広がってきている。新 …

sistinchapel
次期ローマ法王選出会議(コンクラーベ)、12日から開催。会議は波乱か?

 ローマ法王庁は8日、退位したベネディクト16世の後継者を選ぶ選挙(コンクラーベ …