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政府・与党が保険金への相続税軽減を決定。庶民には関係なく、富裕層のみが恩恵

 

 政府・与党は、死亡保険金にかかる相続税を軽減する方針を固めた。これまでは「相続人の数×500万円」を控除することができたが、この金額に1人あたり500万円を加える。非課税枠が増えることで、より多くの保険金が手元に残ることになる。
 読売新聞の報道では、この軽減策は妻や子供が残されたような家庭を想定しているとし、政府・与党が母子家庭に配慮した結果だとしている。

 だが相続の現実を考えるとこの解釈には疑問が残る。相続税は配偶者については1億6000万円までは非課税であり、保険金も課税されることはない。
 この軽減策が適用されるのは1億6000万円以上を相続する超富裕層の妻か、保険金を受け取る子供だけであり、対象はごくわずかである。ちなみに相続税の申告対象となる富裕層は全国にわずか120万人程度しかいない。この軽減策はむしろ富裕層向けの減税策という方が適切である。

 消費税増税を控え、生活必需品の軽減税率導入など低所得者層に配慮した各種施策が相次いで発表されている。だが相続税の軽減策が実質的に富裕層向けの減税であることを考えると、一連の動きには逆行していることになる。

 読売新聞が報じた「母子家庭に配慮」という記述は、解釈をミスリードする可能性が高い。一般に母子家庭というキーワードには、数億円を相続する妻というイメージはないはずである。記者に何らかの意図があるのか、それとも政府当局の言い分を検証せずそのまま報道したのかは定かではない。

 政府・与党がこの施策を発表した意図は明らかではないが、相続税の増税に影響を受ける富裕層に配慮したか、もしくは保険の販売増加を見込む保険業界に配慮したのかのどちらかと考えるのが自然だろう。

 - 政治, 社会

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