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ボーイング787のトラブルは本当にバッテリーなのか?下請けに甘んじる日本の悲しい現実

 

 米連邦航空局(FAA)は16日、全日空が所有するボーイング787がバッテリーの異常で緊急着陸した事態を受け、同型機を運航する航空会社に運航停止を指示する声明を発表した。各国の航空当局もFAAの措置に追随した。
 FAAによると、航空会社が運航を再開するには異常が生じたリチウムイオン・バッテリーの安全を確認することが必要としている。

 だがボーイング787に搭載されているバッテリーは日本メーカーのGSユアサが製造している。同社の株価はこのニュースを受けて急落した。各社の報道もバッテリーの不具合に関するもの一色となっている。

 ボーイング787の一連のトラブルがバッテリーによるものとまだ完全に判明したわけではない。JAL機のトラブルはバルブからの燃料漏れだし、ANA機の別のトラブルは窓ガラスに原因不明のヒビが入るというまったく異質のものである。仮にバッテリーが原因だとしても、バッテリーそのものに不具合があるのか、電力系統全体の問題なのかはすぐに分かることではない。だが世の中の流れはバッテリーが原因という方向に傾いているように見える。

 このような事態になっているのは、日本の製造業が置かれている環境と決して無縁ではない。今回トラブルの原因とされたバッテリーだが、GSユアサは直接ボーイングにバッテリーを納入しているわけではない。ボーイング787の電力システムを設計・製造しているのはフランスの軍需企業大手タレス社であり、GSユアサはタレス社に部品を納入する孫請け企業にしかすぎないのだ。

 航空機の製造において、もっとも儲かる部分は全体設計を行うボーイングであり、次に付加価値が高いシステム設計分野はタレスのような軍需企業の独壇場となっている。部品を納入する日本の部品メーカーは産業ヒエラルキーの最下層に位置している。原因がはっきりしないうちからバッテリーが集中砲火を浴びる構図は、トラブルの原因をすべて孫請け企業にシワ寄せする構図にも見える。

 日本の製造業は世界一といわれてきたが、必ずしも実態はそうではない。付加価値が高い分野における日本メーカーの存在感は実は薄いのだ。製造業で本当に勝ち組になるためには、付加価値の高い最終製品をカバーしなければならず、現在の日本でそれが出来ているのは自動車メーカーくらいしかないのである。

 ちなみに航空行政の世界も同じような構図になっていると考えてよい。FAA(米連邦航空局)は世界の航空行政の指導者的な立場にあり、各国の航空当局は、実質的にFAAの傘下にあるというのが実態なのである。もしFAAにおいて最終的にバッテリーが原因と特定されれば、問答無用で世界の航空当局がこれに追随することになる。

 こういった状況の是非はともかくとして、日本はそもそも不利な状況に置かれているという事実だけは認識しておいた方がよさそうだ。後になって不当な決定であると不満の声を上げたところで何の解決にもならない。本当の国力差というのはこのようなところに表れるものである。

 - 政治, 経済

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