グローバル経済の思わぬ影響。フランス人はワインを減らし、米国人や中国人は増やす
ワイン大国といわれたフランスでワインの消費量が減っている。フランスでは過去5年間でワイン消費量は30%も減少した。街のビストロではフルボトルのワインが注文されることは少なくなり、グラスワインが主流になっているという。若い世代ではまったくワインを飲まない人も増えてきているという。サルコジ前大統領もビール派でほとんどワインを飲まなかった。
だが日本や中国など東洋圏ではワインの消費量は大幅に伸びている。中国のワイン消費量は年25%の割合で急上昇しており、すでに英国を抜き世界5位の消費量になっているという。また米国も年10%程度の伸びを見せており、消費量ではすでに世界一位だ。
一連の動きは世界経済のグローバル化に深く関係しているといわれる。グローバル化の進展によってライフスタイルが統一化してきているのだ。
フランスのようにワインをたっぷりと飲み、ゆっくり食事をする習慣があった国は、よりカジュアルなスタイルに、米国のようにあまり成熟していなかった国はよりオーソドックスに、東洋の国々は西欧型にそれぞれ変化し、最終的に、ある程度カジュアルな西欧式に収束していくのである。
職場でのアルコールに対する寛容度も全世界的に下がってきている。外交上のパーティでアルコール出さないケースも増えてきているという。評論家の福田和也氏はフランスに旅行した際、フランスの国内線でアルコール飲料を注文したところ、昼間の便にはアルコールは置いていないといわれ驚いたと述べている。
かつて米国のカーター大統領がホワイトハウスに入って最初にしたことは、飲酒の制限であった。敬虔なバプテスト信者であったカーター大統領は政府高官が昼間から飲酒することを嫌ったのである。
だが当時はレベルが違った。カーター大統領が禁止したのは、3杯を超えるマティーニ(ジンがベースの度数の高いカクテル)である。これはウラを返せば3杯までは皆飲んでいたということである。だが現在では雰囲気はまったく変わり、アルコールに対する姿勢は非常に厳しいといわれている。
経済のグローバル化はあらゆる分野において共通化をもたらしているが、食事や酒という文化的な面もその例外ではないのだ。
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